松江新大橋の南側には伊勢宮と呼ばれる飲食店街が広がっているのですが、正確には通りの東側が伊勢宮町、西側が和多見町と寺町の並びになります。その和多見町側の歩道沿いにひっそりと佇んでいるのが『谷屋』さんです。
オープンされたのは10年ほど前のことになるでしょうか。カウンターのみの本当にこじんまりしたお店なのでいつも満席で、付近を探検中に隙あらばと狙っていたところ、たまたま空席があるのを見つけて入ったのが最初でした。期待に違わず接客も料理もとても丁寧な仕事をされているというのが印象に残っています。
その後、暫くして左隣にあった案内所の跡に『おばんざい谷屋』という姉妹店を開店されました。ですが現在は最初の店舗は使用されていない様子で、代りにおばんざいのお店の方を『小料理 谷屋』として営業されています。
実はこのお店、そのまんまの意味で敷居が高くて入りにくいのです。入口のドアが板壁の一部をくり貫いた作りになっていて、そのドア自体の丈が短い上に下から15センチほどの高さの位置から開くようになっているのでズッコケないよう敷居を跨いで潜り込むようにして入店せねばならぬのです。まるで勝手口のような体裁です。おまけに窓の類が一つもないので中の様子が全く伺えない故に、慣れない方にとってはかなり難易度の高いお店と言えるでしょう。
店内は鰻の寝床を横にしたような感じで7、8席ほどのカウンターと奥の小上がりにテーブル席が二つある程度です。ですが二階もあるので宴会も可能と思われます。カウンター内は酒匠の資格を持つ素敵なお姐さんが仕切っているのですが、ポッチャリしていて笑顔の可愛い大将は料理を作るのが忙しくて滅多に顔を出しません。この大将の和食の腕は間違いなくてどれも美味しく、料理に合うお酒をお姐さんにチョイスしてもらって静かにゆっくり味わいながら飲むという大人のお店といって良いでしょう。探検隊員はここのところご無沙汰しているのですが、機会があれば是非お勧めしたいお店です。
それからこのお店で供される料理の器は市内の工芸品店objectsの品が使われていると聞きました。隊員は陶芸に造詣が無いのですが、お好きな方は器を愛でながら一杯やるのも一興かもしれませんね。