手作りのくらし2 ぬか漬け(3)

 熟れていないアジウリのぬか漬けは、ウリの漬物と変わらない味だった。アムスメロンは皮つきで漬けたせいか、皮が硬くて、口の中でごわごわした。ついでにキャベツも漬けたところ、すぐに漬かるし味も良かったけれど、ぬか床が水っぽくなってしまった。どこで仕入れた情報なのか、夫が、「またぬかを足していくんだよ」というので、ちょうどいい手触りになるまでぬかを足し、塩も少々入れて混ぜ、二日に一回はかき混ぜて冷蔵庫の野菜室に入れておいた。
 遅くに苗を移植したスイカとアジウリが小さな実を付け、十月に入ってからも夕飯のデザートとして寛大と実歩を喜ばせてくれた。その頃、畑では秋蒔きの野菜が育ってきていた。
 散歩コースの一つに、近所の人たち数軒で育てている畑の脇を通るコースがある。そこは、去年の秋から、草ぼうぼうとなり、そのまま放置されていた。畑を作っていた人たちが高齢になり、草取りもままならなくなって野菜作りをやめてしまったようだ。そこを通るたびに、大根の種が私に顔を向け、「私たちの子孫を残して」と語りかけてくる。このまま朽ちるよりもと、種のついている部分をいただき、持ち帰って鞘から取り出した。五十粒くらいはあったろうか。それを、九月の初め、去年の残りの種を蒔いた畝の隣の畝に蒔いた。
 スイカもアジウリも蔓が枯れ始めたころから、秋蒔きの野菜の世話が始まった。キャベツと白菜はネットをかけているから大丈夫だが、ブロッコリーの方にはアオムシがつき、行くたびに十匹前後はつぶしていった。あとは、大根の間引きだ。間引き菜を浅漬けにし、細かく刻んでご飯にまぶして食べるのが、夫も義母も、娘の夫である忠ちゃんも大好きなので、毎年この時期には間引き菜を採る。去年の残りの種を蒔いた畝の大根を間引き、隣の畝のを間引きにかかる。あれっ、根っこが赤い。ええっ、これ、カブじゃないか!