座付の雑記 36 チラシ
こども寄席の依頼があると、ほとんどの場合チラシを作る。どのように作るかは依頼主によってまちまちだが、ほかにもいろんなイベントをしていて作り慣れているところは、まああまりない。お得意様である町内会や敬老会などは、役員が会合を知らせる文書の中に「こども落語があります」などの文言を入れて知らせるという発想の人が多く、写真やタイトルが踊る一般的なチラシを思いつく人はまずない。そこで「チラシはご希望ならこちらで作りますよ。無料です」と言ってサンプルを示すと、たいてい「それじゃあ作ってください」となる。
会員が決まっていて、黙っていても集まる類いの会には本来不要だが、告知とは別に誰がどのように何をするのか理解を図り、期待を高めるという効用がチラシにはあり、それはとても大切なことなのである。
町内会によって、回覧であったり全戸配布だったりするが、寄席に来られなくても、子どもたちの元気な顔を多くの人に届けられるというのもチラシの利点で、その意義は小さくないと思っている。だから出来映えについては、少しでもよいものになるようにと細心の注意を払っているつもりだ。しかし、何とも奥が深く、ちょっと調べれば知らなかったことがわんさか出てくる。デザインなどまったく学んでこなかった素人には、毎度我が拙さを思い知らされる。
いつしか書棚には、デザインやフォントの解説書が並び、利用するパソコンソフトも吟味すれど増えていくばかりで、金も手間もそれなりにかかってしまうのだが、どれも必要に迫られたからであり、おもしろいことに出合ったあかしでもある。
デザインと落語、そして文章も、表現という意味では仲間であるせいか、驚くほど共通点が多い。某書にいう。センスがないなどとは逃げ口上に過ぎず、「大切なのはセンスではない。誰に何を伝えたいのかなのだ」と。まさにその通り。
