ニュース日記 1000 与党は現状維持か

30代フリーター 立憲民主党と公明党が合流した「中道改革連合」は「高齢者連合」の旗揚げになった。各年代に支持者が散らばる自民党、若年層に支持される国民民主党、若年・壮年層の支持が多い参政党に対抗する「世代政党」のひとつと言える。

年金生活者 政党の勢力分布にまで反映するようになった世代間の利害対立の深まりは、経済構造の変化の高速化と、少子高齢化にともなう世代交代の低速化がもたらしたものだ。

 東西冷戦の終結後、世界経済はグローバル化が雪崩を打って進んだ。旧東側諸国、発展途上国、新興国の安い労働力が世界市場に流入し、先進諸国の労働者の賃金は低下するか、伸び悩んだ。

 先進諸国の中でも少子高齢化の進行が速い日本では、そのぶん世代交代がゆるやかになり、経済構造の変化に追いつけなくなった。社会保障制度は、支えられる側が増える一方なのに、支える側は人数も賃金も増えない。支えられる側は従来の制度の恩恵をこうむっているのに、支える側は負担が増す一方という不公平が拡大した。

 それでも、グローバル化はデフレをもたらしたので、物価が上がらず、低い賃金でも耐えやすかった。ところが、新型コロナの流行とウクライナ戦争を引き金に世界経済はインフレに転換し、物価高に賃金が追いつけない状態に陥った。社会保障制度のゆがみが意識されるようになり、世代間の利害対立が鮮明になった。

 しかし、目を未来に転じると、対立が緩和する可能性も見えてくる。デフレからインフレへの転換は、グローバル化が抑えられ、賃金が上昇し出すサイクルに入ったことを意味する。これは社会保障制度を支える側の負担力を上げる可能性がある。また、高齢化の進行は高齢者の「現役化」を促し、支えられる側を支える側に変える方向に作用する。

30代 中道改革連合に対しては、ほとんどどこからも喝采の声が聞こえてこない。

年金 党の路線が「正しい」と思っても、「おもしろくない」と感じる有権者が多いからではないか。

 現在の政治の特徴はエンタテインメント化が進んでいるところにある。人気アイドルを思わせるような高支持率の高市内閣、「外国人退治」を裏の物語とする「日本人ファースト」の参政党、「手取りを増やす」と、種も仕掛けも明かさずに(財源を示さずに)言い放って「議席の手取りを増やした」国民民主党。いずれも政治のエンタメ化を物語る現象だ。中道にはそれがない。

 近代国家はネーションとステートから成るとされる。前者は共通の文化や言語、歴史を持つ人びとの共同体を、後者は特定の領土とその住民を統治する機構を指す。政治がエンタメ化する舞台はこのうちネーションのほうだ。そこでは人間は自らを共同的な存在と信じて振る舞う。それを持続させるエネルギーを補給するのがエンタメであり、その起源をさかのぼれば、祭りに行き着く。祭りは共同体を活性化させ、持続可能なものにするイベントだ。

 現代ではそのプレーヤーが政治家であり、政党だ。中道やそれに所属する議員らには、そのための脚本を与えられていない。まして有権者はどんな出し物があるのかよくわからないままの状態だ。

 2017年に小池百合子の「希望の党」から「排除」された枝野幸男らが結成した立憲民主党には脚本があった。安保法制に反対して小池新党と対決する物語を描いた脚本だ。それが衆院選で希望の党を上回る議席を獲得する原動力となった。安保法制を容認する中道をよしとせず、入党するのを拒む議員らが、かつての枝野新党の再現を狙って別の党をつくろうとしても、脚本はない。枝野の書いた脚本を使おうとしても、安保法制をめぐる世論は反対多数から賛成多数に転換し、かつてほど支持されることはない。

30代 朝日新聞の世論調査(1月17、18日)だと、衆院選で自民と維新の与党が「過半数をしめたほうがよい」が52%と半分を超えている。

年金 その期待通り与党はぎりぎりで過半数に達するのではないか。

 「いま投票するとしたら」として尋ねた比例区の投票先は自民34%で、2024年10月の衆院選前の調査のさいの36%とほぼ同じだ。一方、中道は9%と、人気がない。

 高市内閣の支持率は今回の調査でも67%と依然として高水準を保っている。それと対照的に、政党への支持は与野党ともに伸び悩んだままだ。政党に対する国民の期待が低下し、それを補うように政治家個人のカリスマ性への期待が高まっていることがうかがえる。その期待は実利的な満足よりも精神的な満足を求めるものと言っていい。高市早苗は現代にタイムスリップした太陽神のアマテラスのようなものなので、光をふんだんにふりまいて希望を持たせるが、腹の足しになるものは持ってこない。

 実利的な要求のほうはやはり政党に突きつけるしかない。要求の第1は物価高対策であり、そのための新年度予算の成立に必要な議席を与党に与えなければならない。だからといって、裏金議員を復活させるわけにはいかない。与党が「過半数をしめたほうがよい」の52%という数字はそれを示している。