座付の雑記 28 カラコロこども寄席
新年一月から月一回の定期寄席をすることになった。これまで季節ごとの年4回を県立大学で、冬を除いた年3回を松江歴史館で定期に開催しているが、それに月例が加わった。場所は、市の中心部殿町にあるカラコロ工房である。ここは81年まで日銀松江支店があったところで、そのころから近年まで松江を離れていたぼくのような者にとっては、工芸館となった今のそれより、重厚な西洋建築そのままのいかめしい日銀だったころの方がずっとなじみがある。
「カラコロ工房」の名は小泉八雲の著作による。『日本の面影』で、松江大橋を渡る下駄の音について書かれているのはよく知られているが、それにちなむ。現在のような工房となってすでに四半世紀経つのだが、その間松江にいなかったせいもあって、ぼくはほとんど足を踏み入れたことがなかった。
そのカラコロ工房から去年の秋、落語会をやらないかと声がかかった。呼ばれればどこにでも行きます、と公言しているのだから、断る理由などない。とんとんと話が進んで寄席を開いたのが11月だった。
カラコロ工房は、中庭がオープンカフェになっており、それをぐるり取り囲んで飲食店が並ぶ。道に面した旧日銀の建物には雑貨屋が入り、地下に下りるとアクション映画で見るような巨大な金庫が大小二つ並んでいて、ギャラリーとして利用されている。落語会場となったのは、そのうちの小ぶりな方である。ちょうど小学校の教室と同じくらいの広さだが、横が狭く縦に長い。定員20名だが、教室も同様で入ろうと思えばその倍以上入る。
下見に来たときは、分厚い鉄で覆われているためかエコーが効きすぎて反響が耳障りだったが、実際にお客を入れてしゃべってみると程よく音が吸われて心地よい塩梅になった。マイクがなくても小さな声を十分後ろまで届けてくれるので、子どもたちも聞いていた保護者も「今まででいちばんいいんじゃないですか」と言うほどだった。
程なく、月1回の提案が正式にあった。こちらとしても望むところだったので二つ返事で引き受けた。他の会場と同じように一回一回単独の落語会にする必要もないので、月をまたいだ企画もしてみたく、こどもたちに問うてみた。すると小泉八雲の怪談をテーマ別にして3カ月やってみたいというおもしろい企画が出された。こどもプロデュースによるこども落語会、1月25日、2月15日、3月15日いずれも午後2時から4時。入場無料だが額を問わない寄付金を募る。みなさま、ぜひおいでください。

