老い老いに 31

 夕焼け通信が始まって6年目にあたる1998年度も、新たな書き手を次々と迎えながら発行し続ける。随筆や詩、講演録、時折海外事情も載せ、大概B5版8ページを保った。

 そして年度途中で1999年に突入する。ノストラダムスの大予言で人類が滅亡するとされた年についに至ってしまった。我が子たちは、時々、「今年で人類は滅亡するんだって」などと口に出すものの、本気で怖がっているわけでもなく、元旦は初詣のあと、おもちゃ屋に寄って人生ゲームとチョロQコースを買って帰った。我が子たちが遊んだチョロQは、孫がほんの幼い頃に喜んで走らせ、近頃は寛大と実歩が人生ゲームをしたがるようになった。

 さて、その1999年はどんな年になったのか。国内の十大ニュースを挙げる。

一、東海村核燃料加工会社で国内初の臨界事故  二、住友・さくら銀合併、第一勧銀など三行統合と金融再編大展開  三、臓器移植法に基づく初の脳死移植実施  四、集団暴行、覚せい剤使用もみ消しなど神奈川県警不祥事発覚  五、北朝鮮工作船が日本領海侵犯、初の海上警備行動の発令  六、ガイドライン関連法、国旗国歌法など自自公の賛成で成立    七、自自公の小渕改造内閣発足  八、日産とルノーが資本提携、自動車業界の国際的再編進む  九、完全失業率、過去最高の四,九%を記録  十、新幹線トンネルでコンクリ崩落事故続発

 核燃料臨界事故をトップに、金融業界のごたごた、警察の不祥事、戦前を思わせるような政治等々、危なげなニュースばかりだ。日本国内だけではない。海外ではコソボ民族紛争が起こり、トルコや台湾では大地震が起きている。

 ノストラダムスの大予言の通りに7月に人類は滅亡しなかったけれども、世界中で起きていることはその予兆のように思える。現に21世紀に入ってから、アメリカでは同時多発テロ、わが国では東日本大震災・福島原発事故が起こり、地球温暖化による異常気象、天変地異が頻発し、各地で紛争が絶えない。世界の均衡は壊れ、どう転がっていくか分からない状況だ。それら諸々の影響を受けながら物価が高騰し続け、日々の暮らし自体が不安定になっている。