老い老いに 18

 新しい年が始まった。昨年は、元日に能登半島地震が起き、正月気分ではなくなった。誰もが能登の人々のことを心配し、盆も正月もない自然災害の脅威に戦慄した。さらに震災の詳細が分からないまま、翌日には羽田空港で能登に向かうはずだった海上保安庁の航空機と旅客機が衝突するという、これまた背筋が凍り付くような事故が起きた。

 今年は昨年のようなことがない平穏な年明けではあるが、まだ復旧がままならない能登の人々は見通しの立たない不安の中で正月を迎えたことだろう。また、奇跡的というか、乗務員の的確な判断で旅客機の乗員は全員無事だったが、海上保安庁の航空機に乗っていて亡くなった保安官たちの遺族は、いたたまれぬ思いで1月2日という日を迎えたことだろう。

 さて、夕焼け通信4年目、編集長が「フィリピンのこと」、Y氏が「放浪の記」の連載中に年が改まった。この1997年元旦、我が家の面々7歳から76歳までの6人で枕木山に上がって初日の出を拝んだ。後にも先にもこの年だけではあるが。日記にはこうある。「どうも雲が多くてうっすらと大山山頂は見えるが裾野は暗く雲に覆われた状態。大山の上の雲が面白い形を様々に見せてくれる。やがて山頂付近がオレンジ色になり、雲が少しずつ赤、橙、黄に色づいていく。寒い中、娘や息子たちと身体をすりよせながら、やっとで太陽の弧が見え凝視できないほどにまぶしくなった時、あちこちから拍手が沸いた。」

 この年の十大ニュースは以下のとおりである。1位、山一証券、拓銀など破綻相次ぎ金融システム不安頂点  2位、神戸の小学生殺人事件 14歳少年を逮捕  3位、総会屋への利益供与で第一勧銀、四大証券首脳ら逮捕  4位、「20011年までに一府十二省庁」行革会議が最終報告  5位、消費税が5%にアップ  6位、サッカーW杯初の本大会出場へ  7位、核燃料開発事業団東海事業所で爆発事故  8位、橋本改造内閣発足 佐藤孝行氏登用で支持率急降下  9位、日米防衛協力のために新指針決定  10位、ロシアのタンカーから重油流出 日本海沿岸汚染