専業ババ奮闘記その2 新学期②

 

「あおい君とともだちになった」児童クラブの帰り道、寛大が言う。少しほっとする。お昼を食べさせた後、宗矢を迎えに行くと、「今日はご飯も食べられましたよ」と保育士さんに言われた。宗矢もすこしずつ慣れてきているようだ。我が家に連れ帰り、近くの公園に連れて行って遊ばせ、娘が実歩を連れて迎えに来るまで共に過ごす。

 娘の休みの日と土日以外、入学式までの5日間、寛大と宗矢との同じような日が続いた。寛大曰く、「児童クラブには慣れたけど、歩くのがな」。確かに、山越えは厳しい。結構距離もあり、寛大を送った帰りと迎えに行く時はショートカットするけれど、送りと迎えで万歩計は軽く一万を越している。毎日通うのは大変だ。ただ、足腰を鍛えるにはいい。宗矢も、実歩が一緒だということもあり、日に日に保育士さんに慣れ、笑顔が増していっている。寛大は入学式を迎え、宗矢も一日保育になり、私の役目はひとまず終わりだ。

 そこで、やりかけていた部屋の整理を再開した。まずは、娘の部屋からだ。本棚は片付けたので、次はクローゼットの中。下段は布団やら何やらで、片付けようがなく、ちょこちょこっと整理して終えた。脚立を持って来て、上段にあるものを下ろしにかかる。裁縫用の布や紐、毛糸なども、この際整理をしてしまおうと降ろしていく。カラー軍手で作った人形が入った袋、一晩に一つずつ、憑かれたように、毎晩夜なべして作っていたやつだ。天日干しして実歩にでも使わせよう。我が子が使っていた算数セットや裁縫セットも、部分的には使えるので、孫たちに取っておこう。あれこれ思いながら、娘が子どもの頃にためていた小物類が入った箱を下ろすと、目の前に見覚えのある筆跡が。マジックで人形と書かれている箱3つだ。いつの間に、こんなところに運んだのだろう。全部下ろした後、箱を開けてみると、3箱とも人形がぎっしり入っていた。義母は人形が好きで、旅行に行く度に買って帰っていた。姿を見なくなっていたと思ったら、ここに押し込められていたのだ。夫に相談し、処分することにし、元の箱に入れていると、義姉の字を発見。新婚旅行の土産に義母に買ってきた日本人形だ。また、宝物が出てきた。義姉に見せると、どんな顔をするだろう。