専業ババ奮闘記その2 ショートステイ①
医療ソーシャルワーカーの方からショートステイの空きがあると連絡があったのは、相談した日から3日目だった。することが速い。義姉と相談し、1週間後に紹介された2箇所の見学をすることにした。
義母は、短時間の放射線照射とリハビリ以外はベッドの上の生活で、行くと大概眠っていた。たまたま看護師長さんが病室におられた日、「車椅子で廊下を回られていいですよ」と、義母を車椅子に乗せてくださった。義母曰く、「雄ちゃんみたい」な師長さんは、息子より一回りは年上だと思われる、がっちりした体格の人だ。息子ほど背は高くないが、丸刈りの頭と黒ぶち眼鏡がそう思わせるのだろう。四階の廊下を回りながら、1年半前のことを思う。肺炎で入院した時は、結構車椅子で連れ出して、窓から見える景色を眺めては、「あそこが赤玉さん」と、毎回繰り返していた。今回はコロナ禍で、面会は15時以降の15分以内と限られている。ほんの気休め程度ぐるりと1周して病室に帰り、近くにおられた看護師さんに手伝ってもらってベッドに寝かせた。
そうして迎えた見学の日、義姉と夫と3人で、まずは一軒目のショートステイを訪ねた。小規模多機能居宅介護施設で、たまに散歩をするコース上の高台にある、一見アパート風の建物だ。サービス付き高齢者向け住宅、ショートステイ、デイサービスの機能を有していて、この度ショートステイに空きがでたとのことだ。入り口でのコロナ問診、検温、消毒は病院と同じで、面会は、午前午後を問わず、15分以内で可能。建物が新しいのと、スタッフがにこやかなことが気に入った。そして、何より驚いたのは風呂。車椅子ごと入り、一人入るごとに湯を入れ替える仕組みになっている。清潔感があり、設備も整っている。個室は狭いといえば狭いが、日中はデイサービスの人と一緒に広いフロアで過ごすとのこと。
もう一軒は、車で10分くらいの住宅街にあり、古い木造家屋を小規模多機能に転用していた。職員さんに高齢の方が多く、風呂は家庭用で、全面介助を要する義母が入れるようなものではない。おまけに、料金の安さを売りにしているところが気に食わなかった。3人、相談するまでもなく、一軒目ということで一致した。