専業ババ奮闘記その2 コロナ禍の中で①
新型コロナウイルスの感染が広がる中、全国的に学校が休みになり、保育所も自粛という日々が続いた。我が家の男どもも、大好きなパチンコ屋に行く足を何とかとどめていたが、学校再開となる五月二十五日の一週間前、ついに夫が禁を破り、家を出た。バイクを走らせて帰って来た息子が、「おやじは?」と言うので、「パチンコ」と答えると、「えっ」という顔。すかさず、「あんた、昨日バイクで走った帰りに行ったんでしょ」と言うと、「やば。お袋の俺への評価が下がったな」。隠しごとができない息子は、昨日の帰り際、ぼそっと漏らしていたのだ。誘惑に弱い我が家の男ども、あと一週間が待てないのか。
一足先に自粛を解いて保育所に行き出した寛大と実歩。「何もかも中止なんだよ。寛大にとっては保育所最後の年なのに、夏祭りもなし、おじいちゃん、おばあちゃんとの交流会もなし。可哀そうだわ」と娘は言うが、誰もが我慢しているのだから仕方ない。
自粛していた間、寛大と実歩は家でできるいろいろな遊びに挑戦できた。とんとん相撲、ジェンガ、人生ゲームなど。一番よくやるようになったのがトランプだ。料理の絵が描かれた二枚ずつあるカードを裏返しにして神経衰弱のようなことをしたところ、寛大が気に入って何度も繰り返した。これができるならと、トランプの一から六までのカードだけで神経衰弱をしてみたら、難なくやれる。全部を使ってやるようになり、みるみるうちにうまくなって、しまいには大人たち誰もが敵わなくなってしまった。実歩もババ抜きには参加するようになり、そのうち、数字が読めるようになっていった。
「職場は大変なんだって。コロナ患者受け入れるのなんて初めてだからね。みんな、手探りで、ばたばたらしいわ」育児休暇中で、その騒動に巻き込まれずにいる娘だが、復帰してからはその渦中であたふたするのだろうか。娘が復帰する頃には落ち着いているのだろうか。何せ、先が全く見えない現状だ。
私の方も、合気道の稽古は六月末まで中止、手話教室は一年お休み、ライブラリー関係の行事もすべて中止と、家に籠ることを余儀なくされた。その空白を埋めるかのように、義母にかかわることが増えてきていた。