専業ババ奮闘記その2 虫捕り⑥
孫たちが来た日、寛大と実歩を裏庭で遊ばせながら草を抜いていると、もじゃもじゃの小さな葉。「あっ」と声を出すと、「どうした、ババ」と寛大が寄ってきた。「ほら、パセリ」と、まだ一センチくらいの草を指さした。一昨年パセリの苗を二本買って裏庭のプランターに植えた。食べきれないほどの葉を付け、茎が伸びた先には大きな花を咲かせた。去年一年間姿を見せなかったので、消滅したと思っていた。落ちた種から発芽したのだ。もじゃもじゃの芽がそこら中に広がっている。幸い、寛大と実歩は、スプーンで器に砂利を入れ、おままごとに興じている。私はパセリの芽をスコップで掬ってはプランターに移していった。
そのパセリが店で売っているくらいの苗に育ち、娘にも鉢に移植して持たせた。広がる枝を摘んでコップに挿し、必要な分だけ料理に使っていた。ある時、コップの周りに芥子粒ほどの小さな黒い物がぱらついている。葉をよく見ると、小さな黒い物が。キアゲハの幼虫だ。この幼虫、絵本「はらぺこあおむし」さながらに、大きくなるにつれ食べっぷりは半端でなくなり、しまいには葉を全部食い尽くしてしまう。慌てて裏庭に回り、葉を探ってみると、一センチくらいの幼虫が数個見つかった。一つ、また一つと潰しながら、「そうだ、寛大たちに育てさせよう」と思い、三匹ほど取っておいた。去年は畑で捕ったアオムシを持って行ってやった。蛹から羽化した日、二人とも目を丸くして報告してくれた。今年はキアゲハだ。この幼虫、模様がはっきりしてくると美しい。黄緑色の胴体に黒の縞々、そこに黄色い斑点がついている。突いたら出す舌は鮮やかな朱色。この色あいを是非見せてやりたい。
畑に行く途中、幼虫とパセリの葉を持って玉湯に寄った。保育所の体操服姿で寛大と実歩が迎えに出た。「幼虫どこにおる」と寛大。「ほら、ここ」と、まだ小さくて黒い幼虫を指さした。分家したパセリはどうなっただろうかと家の裏に回ると、鉢には茎だけになった無残な姿があった。葉も一緒に持ってきて正解だった。
翌日、保育所の帰りに我が家に寄った寛大と実歩は、我先にと報告してくれた。「カマキリが卵から出てきたよ」「ちっちゃいのがいっぱいいっぱい出てきたよ」