専業ババ奮闘記その2 里帰り②

 娘と宗矢が我が家に加わり、初めて迎えた朝は実歩の世界地図の後始末から始まった。夜中に一度替えたパジャマと、朝方二つの布団をまたがっての大地図で、シーツ二枚に二着目のパジャマ。洗濯機二度目を回す。あとで気づいたことだが、私が朝ご飯の準備に降り、まだ眠っていた実歩を残して夫と寛大が降りた後、目が覚めた実歩は一人ぼっちだったのだ。一人でトイレに行けなくて、その場で漏らしてしまっていたようだ。夫には、これから子どもたちが二人とも目覚めるまでは部屋にいてくれるようにと頼んだ。

 義母をデイサービスに送り、寛大と実歩を保育所に送ると、今日からもう一つの大仕事が加わる。宗矢の風呂だ。寛大は八月初め、実歩は五月末と、暖かい時季の出産だった。今回が初めて寒い時季に産まれている。娘と相談し、暖めた台所で風呂に入れることにした。寛大の時に購入したビニール製のバスタブ(空気で膨らませるもの)が、あちこちビニールテープを貼って補修を施しつつも使えそうなので、それを使って。

 ストーブ二台で台所を暖め、ビニールシートの上にバスタブを置き、湯を張っていく。う、すでに空気が抜け始めている。事前に膨らませて確認していたはずなのに…。とにかく、もう宗矢は服を脱ぐ態勢に入っている。湯加減を娘に確かめてもらい、宗矢を裸にして、娘が片手で宗矢の耳を押さえながらもう片方の手で体を支え、お尻から湯の中に浸していく。お尻に湯が触れるなり泣き出した。寛大は最初こそ泣いたが、徐々に気持ちよさそうな顔になった。けれども、宗矢は湯に浸かっている間中泣いている。バスタブはどんどんしぼみ、歪んだところから湯が漏れそうになるので形を整える。細心の注意を払いながらかけ湯をしたら、また火が付くように泣き出した。宗矢のことは娘に任せ、私は片付けにかかる。

台所の床はべちょべちょだ。萎びたバスタブから湯を救い出し、流しに捨てていく。少なくなったところで、バスタブを抱えて流しに一気に捨てる。それから、水浸しになったビニールシートをはぐり、床の濡れを拭きとる。はっ、やっと終わった。これを毎日続けるのか。とにかく、再度ビニールバスタブの補修点検だ。