専業ババ奮闘記その2 懐妊①
広島に帰る車二台を送ったあと、JRと高速バスで帰るIと時間待ちしている間に、二男が帰ってきた。「写真より男前やん」というIの言葉に照れながら、「母がいつもお世話になっています」と返した二男。Iと会話する私を、普段の「お袋」と違う人のように感じているようだった。
同窓会が終わってからも、体の方は今一つで、武道館に行って稽古をしたものの、途中で息があがり、先生に申し出て帰るなど、不調はまだ続いた。
そんな中、娘の第三子懐妊が分かった。ほんの初期だが、つわりが始まっている。
一週間後、少し調子が良くなった気がするので武道館に行った。車を停めて外へ出たら、隣の車から剣道着を着た男性が降りてきた。K先生ではないかと前々から思っていたけれど、なかなか声を掛けられずにいた。いい機会だ。「あの、K先生ではありませんか」思い切って声を掛ける。「はい、そうですが」と返されたので、「先生には娘が大変お世話になりました」武道館へ向かいながら、12年前のことを話した。「ああ、あの時の。確か、娘さんは体格のいい、お母さんはスリムで」覚えてくださっていた。「それで、娘さんはお元気ですか」と言われるので、再発もなく、結婚して母親になっていると伝える。「それは良かった」としみじみ語る口調に、やはりあの時の娘の状態は深刻だったのだなと改めて感じさせられた。K先生の見立てで発見が早く、すぐに総合病院につなげてくれたから、今の娘がある。そうして、3人目の子どもも授かった。元気に生まれてきてほしい、そう願いながら稽古をしたせいか、体の動きはスムースで、9割方回復した気がした。
検診を終えた娘が、寛大、実歩と共に我が家に寄った。「予定日ね、1月19日だよ。どう思う?」えっ、夫の誕生日と同じじゃないか。