ニュース日記 1008 高市人気をもっと上げる方法

30代フリーター 新年度予算案が審議時間を大幅に短縮して衆院を通過した。政権と与党のかつてない横暴が続いている。

年金生活者 高市早苗が国会運営の慣例を無視して予算の年度内成立を目指す狙いのひとつは、「型破り」による目新しさを演出することによって高支持率を維持することにあるのかもしれない。高市人気の源泉は絶えざる「新規性」の演出にあるからだ。

 この政権の最大の新規性は「初の女性首相」であり、それが高支持率の最大の要因ともなっている。だが、どんな新しさもやがて陳腐化する。「初の女性首相」も新しくなくなるときが来る。高支持率の維持も難しくなる。新規性に支えられた政権の宿命と言っていい。

 長期政権を目指すなら、目新しさを休みなく演出し続けなければならない。高市政権はこれまでもそれを実行してきた。財政規律を無視した「積極財政」▽異例の真冬の電撃解散▽「私が総理でいいか」と問いかけた大統領選的な衆院選の演出▽タカ派的な安全保障政策の加速▽マスメディアよりSNSの活用に傾斜した選挙運動などだ。

30代 そうした新規性は高市の独創ではなく、多くは「型破り」を繰り返すトランプの政治スタイルの模倣に見える。高市が師と仰ぐ安倍晋三がトランプを手なずけて利用しようとする一面を持っていたのに対し、高市はトランプをまね、トランプに同調する。

年金 結果的に、高市政権の諸政策は「ネオ重商主義」という世界のトレンドに沿うものとなっている。

 政権のおもな「ネオ重商主義」政策をあげると、AI・半導体など最先端分野のへの政府の支援▽技術・資源の国家管理による「経済安全保障」▽防衛装備品の輸出緩和や防衛企業への補助金など軍需産業の振興などで、いずれも財政支出の増大、官民の共同、政治と経済の一体化、軍事と産業の結合が特徴だ。

 「ネオ重商主義」は、かつて商業資本主義の段階にあった西欧で絶対王政国家がとった「重商主義」の現代版だ。それは現在の世界の主要国に共通した政策になっている。

 「重商主義」は「植民地主義」と表裏一体であり、「ネオ重商主義」もまた形を変えた「植民地主義」をともなっている。アメリカのベネズエラ襲撃やイラン攻撃、中国の「一帯一路」構想はその具体化にほかならない。欧州や日本にはそこまでの力はないが、かつて絶対王政国家が繰り広げた資源獲得競争を「経済安全保障」の名のもとに反復している。

 それらは資本主義が商業資本主義に形を変えて回帰したことを示しており、トランプや習近平やプーチンの横暴な振る舞いは、商業資本主義のもつ横暴さをあらわしている。それを模倣しているのが高市政権だ。

30代 過去の政権がしなかったことをする「新規性」の演出が高市政権の高支持率を支えているとしたら、イラン攻撃に対して、歴代政権と同様にアメリカ追随の姿勢を示している高市早苗は自らの人気を長続きさせる絶好のチャンスを逃そうとしていることになる。アメリカのイラン攻撃に反対することこそ、「初の女性首相」のあとの最大の「新規性」の演出になるはずなのに。

年金 戦後の日本で、アメリカのする戦争に反対した政権は存在しない。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争など、いずれもそうだ。アメリカはこれらの戦争について、国連安保理決議やその拡大解釈、さらに集団的自衛権の行使といった国際法上の裏づけを曲がりなりにも掲げて正当化した。だから、日本政府も追随しやすかった。

 ところが、今回のイラン攻撃はそうした正当化の手続きすら、はなから飛ばしていきなり実行しており、国際法違反の疑いが極めて濃い。親トランプの高市政権もさすがに正面切って支持することはできず、「イランの核兵器開発は許されない」(外相談話)とか「我が国として法的評価は差し控える」(首相答弁)といった言葉で遠回しにアメリカの行動を容認している。

 だが、国民世論はそれとは対照的に、イラン攻撃への不支持が圧倒的だ。朝日新聞の世論調査(3月14、15日)では、攻撃を「支持しない」は82%におよび、「支持する」は9%にすぎない。この攻撃が法的に問題があるかどうか、考えを明らかにしない首相の姿勢について「評価しない」は51%で、「評価する」の34%を上回っている。

30代 それでも内閣支持率は61%と高水準を維持している。

年金 もし高市政権がここで一転してイラン攻撃への反対を表明すれば、それは未曽有の高さに跳ね上がるだろう。

 戦争が長引き、ホルムズ海峡の封鎖が続けば、インフレは今後さらにエスカレートし、国民の不満は政権を不安定化させかねないくらい高まる可能性がある。そうなったとき、首相の攻撃反対の表明はそれを和らげるはたらきをするはずだ。1国だけで表明するのが不安なら、すでにアメリカを批判している仲良しのイタリア首相メローニやその他のG7各国の首脳を誘って共同でトランプに戦争をやめるように申し入れればいい。戦争を早く終わらせたがっているトランプへの助け舟にもなるかもしれない。