老い老いに 44

それからしばらくして10月22日に夕焼け通信は400号に達した。300号のような圧巻ではない。いつも通りの夕焼け通信である。編集後記は次の通り。

「400号は区切りという気がしないので、淡々と迎えようということになったのですが…。編集人の困惑をお察しください。でも、こんなメッセージを贈ってくれる人がいてくれることをほんとうにうれしくそしてありがたく思っています」

編集人を困惑させたのは、K・Aさんから編集長宛てに寄せられた手紙だ。長いので抜粋を載せる。

 「夕焼け」が400号を迎えた。私が入れてもらってからでも3年を過ぎた。思えば編集長は不思議な人だ。この8年余りの間、みんなの原稿を集めパソコンで編集し、自分も原稿を書き、発送する。これを毎週やって休むことがない。「大変でしょう」というと「いいや」と涼しい顔をして言うのである。…(中略)…えっ、と思うような人と知り合いであったりする。人と親しくなる名人と言っていい。併せて、人と人を出会わせ結び付ける人でも。

…(中略)…人の背中を押す人でもある。はじめは「○○してみませんか」というお誘いだったり、「お願いがあるんだけど」という控えめなお願いであったりする。けして押しつけがましくはないのだ。けれど、なぜかそれに応えたくなってしまう。…(中略)…口説かれた人数知れず。だが、そのことを誰も悪く思わない。いや、後ではみんな感謝する。彼はいろいろな人の人生を豊かにする仕掛人である。本人は「そんなつもりじゃあ…」というだろうけど。…(中略)…「じゃあ、次の区切りの400号に載せてよ。それならいいでしょう」「うーん…」…(中略)…今頃きっとすごく困った顔をしているに違いない。でも、絶対載せてもらうつもりである。同じように思っている人がきっとほかにもいらっしゃる、と思うから」

 K・Aさんと同じ思いで共に歩んで30余年。淡々と迎えた400号を通過し、その後も編集長は様々な活動をし、多くの人と関わり続けつつ、編集、執筆、発送をし続けている。私はただ夕焼け通信という船に乗せていただき、波に揺られてきただけだ。それでも淡々とながら、この通信が今や1500号を超えたということだけは誇らしい。