老い老いに 43
「(前号の続き)ことに、テロ事件では110階建ての世界貿易センタービルに旅客機が突っ込む場面を捉えた映像は、映画の世界では見られるにしても、現実のものとは信じがたいものだった。次々と報道がなされ、巨大ビル倒壊の様子や被害に遭った人々の様子が映し出されると、背筋がぞくっとしてきた。知り合いが巻きこまれたのではないかと、学生時代の友人の顔が浮かぶ。もし、アメリカが報復行動を起こし、戦争にでもなったら…日本も巻き込まれるようになったら…と、次から次へと不安がよぎる」
衝撃的な事件で、同号にはM・Ⅰさんも、「飛行機の影が吸い込まれるようにしてビルに突入、爆発炎上する映像を見ながら、僕はふと、2か月ほど前に見たアメリカのテレビドラマ『7デイズ/時空大作戦』の一シーンを思い出していた」で始まる『漫画道楽記』を寄せている。テレビドラマの次に、『第四の核』という小説を紹介し、最後にこう書いている。「テロ事件から2日後のこと、新聞に掲載された事件に関しての『識者座談会』を読んでいた僕は仰天した。そこには核兵器によるテロを懸念した上で『スーツケース型の核兵器が40~50個、旧ソ連で紛失したと言われている』と書かれていたのだ。もしこれが本当なら、『第四の核』は実在した、いや今現実にこの世に存在することになる。今回の首謀者は、アメリカ軍による大規模な報復を当然予想しているに違いない。ならば、その報復に対して、さらに何らかの策を持っていると考えられないだろうか。近い将来、どこかの国の米軍基地周辺二キロメートル以内で核爆発が起きる。これが、臆病者の取るに足りない妄想であってくれることを願うのみだ」
M・Ⅰさんや私だけでなく、世界中の人々を震撼させた同時多発テロ。あれから四半世紀、今の世界情勢はというと、あちらでもこちらでも紛争が起こり、一触即発の状況も各所で見受けられる。わが国の動きも不穏だ。先日は馬毛島と周辺の島の人たちの現状を報道しているテレビ番組をちらっと見た。記者を入らせない馬毛島の建設現場。一体どういう施設になるのだろうか。今朝の新聞にはオスプレイの佐賀空港配備の記事が載っていた。国民が反対しようが、静かに着実に軍備が進んでいる。予測できない未来が足音を忍ばせて近づいてきている。