老い老いに 36

 世紀末の1999年、世界は終わりを告げなかった。2000年に突入、新世紀を迎えた。年頭の日記にこんなことを書いている。

 子どもの頃、2000年になると44歳のおばあさんかあと思っていた。そのおばあさんになってしまった。元旦の今日、夫と長男と3人で初もうで。はしゃぐ私に、「お母さん、子どもみたい」と長男。いつまでも気持ちは子どもでいたいものだ。

 子どもの頃の40台はおばあさんのイメージだった。実際40台でお祖母さんになる人はざらにいた。母もそうで、私が高校生の頃にまだ30代だった。今、40代、50代でもばりばり現役世代だから、世の中変わったものだ。今年古希を迎える私は正真正銘のおばあさん。はしゃぐこともなくなり、身体はがたがた。考えることといえば、死ぬまでにしておかねばならない身辺整理のことばかりだ。

 すっかり老いてしまった今、新世紀となってすでに四半世紀が過ぎたが、2000年というのはどんな年だったのだろう。10大ニュースを挙げてみる。

 一、小渕首相倒れ、森連立内閣発足 二、有珠山と三宅島が噴火、鳥取西部で大地震 三、西鉄バス乗っ取り事件など17歳少年犯罪頻発 四、シドニー五輪で日本女性陣が大活躍、マラソンの高橋ら金 五、雪印食中毒、三菱自クレーム隠しなど企業不祥事相次ぐ 六、そごう、千代田生命など破綻 七、介護保険制度がスタート 八、日銀が一年半ぶりにゼロ金利政策解除 九、衆院選で自公保後退、民主躍進 十、旧石器の発掘でねつ造発覚

 もう四半世紀前になるのか、あの地震は。昼休みに校庭で子どもらと遊んでいる時に、突然地面が揺れ、立っていられずしゃがみこんだ。頭には♪さようならと泣かないで♪の曲が流れた。五木ひろしが歌う『明日の愛』日本沈没のテレビドラマの主題歌だ。地鳴りがするたびに体育館のガラスが大きな音を立て、校庭の真ん中に集まった子どもたちから泣き声が漏れた。児童全員を保護者の手に渡すまで、怖くて長い時を過ごした。

 海外では3位にプーチン大統領就任が挙がっている。肩書だけ首相となった期間を挟み実質四半世紀にわたってロシアを牛耳っている。いつまで君臨するつもりだろうか。