人生の誰彼 29 思ってたのと違った

 ご案内の通り松江イオン内の映画館が閉鎖中なので、T・ジョイ出雲まで足を運んで映画を観てきました。

T・ジョイ出雲はゆめタウン出雲店内にある山陰地方最大といわれるシネマコンプレックスです。全体的にゆとりのある造りになっていて、松江イオンにあった松江東宝5と比べはるかに快適です。特に劇場内の構造が全く異なります。東宝5は緩やかなスロープ式なので場所によっては前の席との高低差が殆ど無くてシートからはみ出した前の人の頭が邪魔で見づらくなることがありましたが、T・ジョイはスタジアムのように全体に急な傾斜がついていて、上から見下ろす形なので前席の人の存在が全く気にならなくてスクリーンに集中できるのです。

 シート自体も東宝5は一時間も座っていると背中やお尻の辺りが疲れて居心地が悪くなるのですが、T・ジョイは適度なクッションのお陰か最後までゆったりと過ごせます。現在松江東宝5はイオンシネマに改装中のようで、できればこの辺りを考慮して貰えると年寄りには嬉しいのですが、看板すげ替えた程度の居抜きにならなければいいなと願っています。

さて、今回T・ジョイ出雲で観た映画は劇場アニメ『ベルサイユのばら』でした。んっ?ベルサイユのばらって、あのベルばら?・・・そうですよ、いや嗤わないでください、爺さんがベルばら観ちゃいかんという法は無いでしょう。といっても私自身の趣味ではなくリアルタイム世代ファンの妻のお相伴に預かっただけなんですが、爺さんのお供はもしかしたらお邪魔だったかもしれませんね。

 物語は、フランス王妃マリー・アントワネットと近衛連隊長のオスカルを中心に様々な人間模様が交錯しながらフランス革命に雪崩れ込んでいく、みたいな感じでしょうか。何せ私は本作を観るまでオスカルが男装の麗人であることさえ知らなかったほどのベルばら初心者だったのでとても面白く感じたのですが、意外や妻の感想は「思ってたのと違った」でした。ネットのレビューでも賛否囂々渦巻いているようで、これは往年の名作のリメイク物の定めといえましょう。

 同じリメイクでも自分にとっては『シン・仮面ライダー』や『ゴジラ-1.0』こそが「思ってたのと違った」作品だったので、先入観無しで観ることができたこの映画のほうがよっぽど新鮮で感動的に楽しめたことは皮肉な結果でありました。