老い老いに 20
重油流出事故で、隠岐では柄杓が品切れだそうです。ああ。」夕焼け通信174号、1997年1月20日発行の編集後記にある。この年1月2日未明、島根県隠岐島沖で、ロシアのタンカー「ナホトカ号」の船体が分断、重油が流出したのだ。船首が漂着したのは福井県三国町、流出した重油6,240キロリットルが島根県から石川県にかけての沿岸に寄せた。この重油の処理には延べ30万人のボランティアによる人海戦術が功を奏したとのことだ。
昨年末にも、ロシアのタンカーが座礁し黒海に重油が流出している。絶滅危惧種のイルカ58頭の死体が見つかったとのことで、深刻な環境被害が生じているという。
そうした環境問題について、カナダ政府発行の環境パンフ「ある魚の物語」の翻訳が5回にわたって夕焼け通信に掲載された。カナダ在住のEさんからである。カナダにはDFOという湖や川、海岸の辺りにいる魚を保護したり世話をしたりする政府の機関があり、国が積極的に環境政策を実施しているということだ。
正月に子や孫たちと一緒にご飯を食べながら、野菜や米、魚など食料品の高騰の話題が出た。「米の値段が倍になったよ」「キャベツなんか三倍だよ」などなど。猛暑、地球温暖化の影響は否めない。快適な暮らしを求め続けてきた我々が招いたことだから、今更どうにもできないことではあるが。先日何気なくテレビを流していると、25年後にはもう魚が食べられなくなるかもしれないと聞こえてきた。自分はもう生きていないだろうけど、子や孫たちのことを考えると、少しでも希望を持てる未来であってほしい。
阪神淡路大震災から30年、東日本大震災からもうすぐ14年。福島原発の事故後の処理がまだまだだというのに、島根原発は再稼働した。80憶にも膨れ上がった人類、そしてそれを養うためにだけ飼育される動物たち、植物たち。人類の存在を維持するためにはどうしてもエネルギーは必要で、その分環境は破壊される。致し方ないとはいえ、今、目先ではなく、子や孫たちが安全で安心して過ごせるような地球環境を一人一人が考えないといけないのではないかと思う。私にできるのは、せいぜい電気や水を無駄に使わず、食べ物は捨てるところなく使い、といった細々としたことだけれども。