人生の誰彼 24 水郷祭の帰りに

 毎年8月の初めに宍道湖岸で開催される松江水郷祭は県内最大の花火大会で、今年も大勢の人手で賑わいました。実は妻の実家が宍道湖の近くにあるので、毎年お邪魔をして夕食を戴いてから花火見物に出るのが恒例になっています。

拙宅から妻の実家までは少し離れていますが、車で行くとビールが飲めない上に帰りの渋滞がハンパないのでバスで出かけて徒歩で帰ることにしています。

 今年も例年通り花火見物を終えての帰り道のこと、閉店した書店の前にゴキブリのような黒い物体がひっくり返ってうごめいているのを発見しました。近寄ってみると小さなクワガタムシの雌です。こんなとこにいたら踏み潰されるがオチだろうと思い、たまたま持っていたレジ袋に入れて保護することにしました。

 それから暫く歩き続け自宅近くのコインランドリーの前を通りかかると、ドアガラスの前に今度は大きな黒光りした物体がひっくり返って暴れもがいているのです。紛う方なきカブトムシの雄です。昆虫大好き爺っちゃん坊やの私は思わず『ラッキー!』と声をあげて捕まえるとレジ袋に入れて連れて帰りました。

 クワガタとカブト、最近はすっかり見かけることが無かったので久々の大漁です。特にカブトムシの雄を手にするのは何十年ぶりのことでしょうか。なかなか立派な体格で、その姿はカッチョコブー!としか言いようがありません。

カブトムシは取りあえずお菓子の空き箱に入れましたが興奮冷めやらぬ様子で暴れています。この暴君とお嬢さんを一緒にするわけにもいかないので、クワガタは別の小さな箱に入れておいて今夜は遅いのでおやすみなさいです。

 さて翌朝、使い古しの金魚水槽に向いの林から拾ってきた枯葉やら枝やらを入れて二匹を放ちました。さて問題は餌です。今では昆虫ゼリーという専用の餌が売られていますが、私が子どもの頃はそんな便利でおしゃれなものは無く、砂糖水に日本酒を混ぜた液体を脱脂綿に含ませてやるのが定番でした。きっと当時の昆虫図鑑にでも載っていたのでしょう。

 けど今ネットで調べると砂糖水は栄養価が低く水分が多いのでお腹を壊して?短命に終るという説を目にするのですが、私はその昔砂糖水だけでクワガタを越冬させたことがあるので根拠のある話しでは無さそうですね。

 何だか少年時代に戻ったような懐かしい夏休み気分を味わうことができました。