北海道への旅、三度目 10
JAFにお世話になるのはこれで三度目だ。一回目は正月に出雲の畑に向かう途中砂(畑のある場所は砂地)に車輪がはまって車が動かなくなった時、二度目は出雲まで畑の水やりに行く途中斐川の辺りでバイクのチェーンが切れて二進も三進もいかなくなった時。いつものことながら、JAFの方の技術力と紳士ぶりには感心させられる。今回の方は、「遅くなってすみません」と、まず断りを入れてから車を積み込んで固定された。私たちが乗る際は、「座席が高いのでお気を付けください」と声を掛けられ、さらに、「着くまで大分かかりますので、お手洗いを済まされた方がいいですよ」と、すぐそばの道の駅で停めてくださった。
そこからは高速に乗って一路西の方面へ。大栄町あたりだったか、我が車がされたように、ジャッキを付けて警察官が車を移動しているところに出くわした。15分くらい待たされただろうか。早く帰りたいところだが、ほんの一時間ちょっと前、今乗せられている車が同じようにたくさんの車を待たせたことを思うと、文句は言えない。その車が少し広い場所に移され、車の流れが元に戻る頃には辺りは薄暗くなっていた。
夫は絶え間なく運転しているはJAFの方に話しかけている。大体に車が好きな夫だからあれこれ聞きたくなるのは分かるが、運転の邪魔になるのではとはらはらする。それでも、JAFの方は丁寧な言葉づかいで面倒くさがらずに答えて下さっている。その間、娘や二男からメールや電話が度々入った。食料を届けようかとか、様子見に行くとか。何も心配ないと答える。新潟や茨城からは、シャインマスカットが届いたとの電話。義妹からも叔母からも、「しばらく家を空けるから、この携帯にって書いてあったけど」と同じことを聞かれ、「いや、旅行に行くはずが事故にあって。でも、怪我はないから」と、同じように答えた。
ライトアップされたお菓子の寿城が見え、「帰って来たなって感じだね」と、私が呟いた。夫を挟んだ向こうのJAFの方が、「私は鳥取なので、このあたりから西はあまり行きませんね」と言われる。すかさず夫が、「私がナビしますよ」と嬉しそうに言った。実際にはカーナビが付いているので、夫の余計な説明は全く必要なかったが。