北海道への旅、三度目 2
軽ワゴン車は2台目だ。退職して畑を始める時に購入したのが管理機を積み込めるワゴン車。畑が1キロ離れた2箇所にあったため、耕すには管理機を乗せて移動する必要があったのだ。伯父が健在だった頃は、伯父の畑もこのワゴン車で管理機を乗せて運び、耕した。
10年ほどそのワゴン車に乗って、軽乗用車に替えた。ぎりぎり管理機を積むことができる車だと判断して夫がそれに決めた。けれども、後部座席の窓は開かないし、前も手動で開けなければならない。後ろのガラス窓にワイパーはないし、何といっても狭い。「ジジの車ちっちゃ」と孫に何度も言われた。結局管理機は車に傷がつきそうで乗せずじまい。そんなこんなで、夫は自分が決めたのにこの車を気に入ってはいなかったようだ。姑を病院に連れて行く際、座席が高くて乗せにくかったワゴン車と比べると、この車は低くてすんなりと乗せることができたし、私には小回りが利いて乗りやすかったのだが。
二日酔いの夫に替わり、車会社に取りに行く。ただでさえ運転が得意でない私だ、慣れない車に乗るのは不安だった。約束の時刻に会社に入り、担当者に説明を聞き、書類に印を押す。実際の車を見ての説明は、7月初旬の照りつける太陽の下、汗が吹き出し、ぼうっとしながら聞く。それでも、前の車と違い、ボタン一つで前後の窓が開けられ、ライトは自動、危険物を察知すると自動制御がかかるという優れものだ。必要な手続きを終え、いよいよ車を引き取って帰る。キーを差し込み、おもむろに動かす。大丈夫、前に進んでいる。駐車場から9号線に出ると、前から馴染みの車のようにすいすい進む。不安は吹き飛んだ。
ただ、車体が前のワゴンより大きく、車庫入れが難しかった。車庫の屋根が斜めになっており、入れ方によっては屋根に当たってしまう。後日、夫はペンキを買ってきて、車庫の床のセメントに印をつけた。それでも入れにくいので、娘や息子が来る時以外は、借りている広い駐車場に入れるようにしている。
こうして、車中泊もできる車は整った。そこから夫の準備が始まる。寝袋に折り畳み椅子、エアマットなど、ネット通販の物が次々届き出した。