空き家 7 これからの家③

 

 新しい家がどんどん建っていく様子を見て、新たに入った者同士のつながりはどうなっているのだろうかと思ってしまう。うちの近所でも、空いた家に他所から来て入られた人の中には、自治体の活動に積極的に参加しようとする人がいれば、できればご近所とあまりかかわらずに生活していきたいという人もいる。先日、道端で義母が生前仲良くしていた80代後半の方に出くわし、「首の方はどうですか」と声を掛けた。庭先で転んで以来、頚椎カラーを着けておられる。「いけませんわ。手先までしびれてね」と、難儀そうに言われた。「自治会長の番が回って来るけど、務まるかなと思ってね」と言われる。うちの周りの自治会は、大概輪番で会長を務めることになっているが、高齢の独り暮らしということで辞退されることもある。家々を束ねる集落としての機能はこれからどうなっていくのだろう。

 今年の元旦に起きた能登半島地震。地震と津波で多くの家屋が倒壊し、たくさんの方々が犠牲になった。家が壊れ、あるいは危険な状態になってしまい、避難を余儀なくされている方たちは、寒さの厳しい時季に大変な思いで過ごしておられる。住み慣れた土地から離れて避難生活をする方たち、ようやく建ち始めた仮設住宅に移る人たち、学校生活再開のために、家族と離れ見知らぬ町で過ごす生徒たち…。半島という交通の便が良くない土地柄、地盤の隆起など地形の変化等もあって、復興は困難を極めている。ニュース映像を見るだけの自分には掛けられる言葉が見つからない。ただ、様々な情報が入ってくる中、集落というとらえ方が変わってきているのだなと感じる。集落全体が壊滅状態のところもあり、相互援助が叶わない現状の中、避難生活者を受け入れるところは遠く他市や他県にわたり、全国から物資が調達されや瓦礫撤去のボランティアが集まり、医療、介護その他でも被災地を支援している。孫のかかりつけ医も先日派遣された。被災された方々の今は安定した生活ではないし、先行きの不安で押しつぶされそうな思いだろう。けれども、全国から、また海外からの支援の先に、少しでも明るい未来が思い描けるようであってほしいと願っている。