人生の誰彼 19 適量飲酒?

 

 いつの頃からか新聞等で適量飲酒に関する特集記事をよく見かけるようになったなと思っていたら、先だって厚生労働省が『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』なるものを公表したので仰天しました。本心では国民の健康のことなど到底考えているとは思えない(個人的見解です)国の機関が、何故今頃になってそんなことを言い出したのか不思議でならなかったのです。

 今まで散々っぱら野放しにしておいて、今更ながらにアルコールは身体に悪いから飲み過ぎないようにねっ!てどういうこと?それは即ちお酒を買うのを控えることに繋がり、畢竟税収が減って財務省がいい顔をするはずも無く、そうすると来年の酒税法改正に何かカラクリでもあるのかなと勘ぐってしまうのです。

 今から20年以上前のことになりますが、その頃私はウイスキーを3、4日で一本空ける日々を過ごしていました。仕事から帰ると何よりも先にグラスに氷を放り込んでウイスキーをドボドボと注ぎゴクゴク飲ると人心地つくのです。アル中の一歩手前の状態であったことは否めません。それから数年後、献血の際の血液検査でγ―GTPの異常値が見つかりました。ちょい基準超えどころの数値ではありません。前年の会社の健康診断では大丈夫だったのに突然数値が跳ね上がったのです。流石に身の危険を感じた私は、飲酒量を減らすようになりました。

 無論酒を断つに越したことはないのですが、流石にそれは殺生なので週末だけ飲むようにしたのです。するとその年の会社の健康診断で正常値に戻っていたのですね。これに気を良くした私は、それ以来平日は飲まないことを戒めとして暮らしを続け、心も身体もそれにすっかり慣れてしまっていました。

 ところがある事をきっかけにその戒めを自ら解いてしまったのです。それは還暦と定年退職です。仕事は再雇用で続けていますが、残り少ない人生これからは気の向くままに生きようと気持ち的に縛りから開放されてしまったのです。無理矢理酒を飲む道理など無いのですが、あえて我慢をする必要もありません。

 今では仕事から帰り手洗いうがいを済ませると、小さなプラカップに養命酒を20ミリリットル注いで一気に呷ります。薬用酒とはいえアルコール度数は日本酒と同じだけあるので空きっ腹に染み入ります。生薬の変な味にも慣れて体調も悪くないので、きっと効果はあるのだろうと信じて毎日飲んでいます。