空き家 6 蘇る家③

 

 隣保の奥の5軒は、ぽつぽつと空き家が増えていった。そのうちの1軒、近くの中古住宅に移られたため空いていた家に、数年前、他所から来られたご家族が入られた。工務店を自営しておられるKさんご一家で、入られる前に自分でリフォームされ、玄関回りがおしゃれになった。すぐ前の空き家も買われたようで、資材置き場にされている。一家には女の子が二人居て、朝夕保育園に送迎する奥さんの車がうちの前を通る。下の子が実歩と同じくらいだ。愛想の良いご主人で、目が合うと、軽トラックの中から必ず笑顔を返される。

 隣保のゴミ集荷場所は我が家の前にあり、市から配布されたネットをゴミ袋の上にかけている。しかし、ネットの上からカラスが突いたり、ネコがゴミを引き出したりするのを防ぎきれない。うちで使わなくなった風呂の蓋を乗せておいても、隙間からゴミを引きずり出している。その様子を見ていたKさんが、板を2枚追加してくれた。そうして何とかカラス&ネコ対策をしていたある時、ゴミを出そうとしたら、長方形の板の両側に、その半分くらいの板を蝶番で付け、折り畳みができるゴミ収納箱が、取っ手の付いた蓋つきで置かれていた。これならカラスにもネコにもゴミは引き出せない。ゴミ出しの日に組み立て、そうでない時は、畳んで塀際に立てておけば、車が通るのに支障がない。しばらくして、「うちのが、蓋が重くていけんっていうんでね」と、軽くなった蓋に替えておられるところに出くわした。奥さんと二人で相談して、ここにゴミを出す皆のために作ってくださったのだ。

 我が家が建つところから奥の家々までは舗装されていない道路で、砂利を敷き詰めている。でも、どうしても車輪の通るところがえぐれてしまう。たまに、草を抜き、根っこに付いた土でふさいだり、道をならしたりしていたけれど、Kさんが来られてから、仕事で使った残りだといって砂利を敷いたり、道をならしたりもしてくださっている。

 2年ほど前に、一人暮らしの方が息子さんに付いて大阪に行かれて空き家になったのだが、その家もKさんが引き受けることになったようで、「この先が大変ですわ」と笑いながら言っておられた。でも、若いから。頑張って!