空き家 蘇る家①
我が家の隣保、回覧板を回す範囲の自治会は、私がこの家に来た40年前には10軒を超えていた。当時は3世代家族が結構あり、娘一人だった我が家に男の子が二人生まれ、隣の家にもうちを追いかけるように3人の子どもが生まれ、我が家より一人多い7人家族でにぎわっていた。その奥には5軒あり、うち3軒は隠岐の島から来られた何かしら姻戚関係がある者同士だった。その中の1軒も3世代家族で、我が長男と同い年の男の子が生まれ、年子の妹が続いた。もう2軒は年配だけの家族だった。5軒のうちの3軒を除いた1軒は、私が来て間もなく引っ越され、空いた家には残った1軒の家の娘さんが旦那さんと一緒に入られた。そこにも我が長男より一つ年下の女の子、2年後には男の子が生まれた。
反対隣りには、NTTの社員が住む2軒長屋があり、そこにはうちの二男より二つ下の男の子がおり、その下にまた男の子が生まれた。だから、隣保には10人を超える子どもがいたことになる。斜め向かいには小さな育児園があり、夏休みになると、園からすこし離れたところにある園庭に、ラジオ体操に集まる子どもたちでにぎわったものだ。
その隣保が、今や自治会に入っている件数は当時の半分以下の5軒だ。奥の隠岐出身のうちの一軒が引っ越されて空き家になり、お隣も少し高台にあるところに家を建てて引っ越され、空いてしまった。その後、二男さん一家が数年住まれたり、娘より1歳年下のお嬢さんが数か月住まれたりしたが、10数年前からは空き家のままになっている。隠岐出身の残された2軒のうちのもう1軒も、少し離れた中古の家に移られたのが10年くらい前。そして、残った1軒には、施設に入られた奥さんのところに毎日通う高齢の旦那さんが一人暮らしをしておられたが、転倒して入院されたのを機に、大阪に住む息子さん宅に移られた。あとの2軒のうちの娘さん親子4人が住んでいた家も、10数年前に旦那さんの実家近くに家を建てて出られて空き家になり、奥の5軒は残すところ1軒となってしまった。ということで、うちの隣保には空き家が5軒も出来てしまったのだ。
反対側はといえば、2軒長屋は10数年前に壊され、2軒の建売住宅が建てられた。その2軒それぞれに2世代家族が入り、細々ながら隣保は機能し続けている。