空き家 3 消える家③
散歩コースで、また立派な家が壊され始めた。数日かかって更地になったところは、割と早い段階で駐車場と化した。競馬場の中でも、古い家が壊された後、駐車場にされたところが点々とある。今や、一家に何台も車がある時代。我が家も多い時で3台あった。最近新築される家は3~4台車が置けるスペースを取っているところが多い。
週1回、点訳ボランティアの勉強会に向かう際、今はシャッターが降りている店舗跡の多い商店街を抜けていく。天神祭りに子どもたちを連れて来た際は、人の波に押し流されないように手をしっかり握って歩いた。店の前にはジュースやビール、かき氷などを売るテーブルが並び、賑わいを見せていた店も、大半が閉じてしまっている。数年前にはその一角で火災が起き、跡地は駐車場になった。それでも、細々と商いを続けていた店も、コロナ禍により、店じまいの張り紙が。「ここもか」「今度はここか」と心の中でつぶやく。
そんな商店街の空いた場所に囲いが出来、マンションの看板が立った。高くて2階建てというところに高層マンションだ。夫に言うと、「ええっ、商店街にマンション?」という反応。心配なのが駐車場だ。どんどん高く空へと延びていくマンションの建築現場を眺めながら、毎週駐車所らしきものを探す。マンションに入る戸数はおそらく数十、それも一家に複数台車があるとすると、敷地内にはとてもそんな駐車場は取れそうにない。建物の周りにせいぜい20数台だろう。立体駐車場を作るのだろうかとスペースを探すが、そんなところはないし、建設する気配もない。そうこうしているうちにマンションは建ってしまった。建った後もやはり気になり、「駐車場空予定あり」などの立て看を見つけると、こういうところを借りるのだろうかと思ったりする。そうして見て歩いているうちに、以前は何らかの店を出していたところが結構駐車場になっているのだと気づいた。人口が減っていくのに車が増えて駐車場があちこちに出来る。住宅街だけでなく、商店街にまでマンションが建つ。街の景色がどんどん変わっていっている。