人生の誰彼 11 夢のまた夢の夢

 

 最近ハゲてきました。ここ数ヶ月で見る間に変貌し、おデコから頭頂部にかけてスカスカでかなりヤバイ状態になっています。

 風説によるとコロナ感染の後遺症に抜け毛があるらしく、もしやすると知らない間に感染していて症状がでないまま後遺症だけ残ったのだろうか?などと考えもしましたが定かではありません。気休め程度にウェルネスで『カロヤンプログレEX』なる医薬品の発毛剤を買って来てせっせとフリカケてはいますが、はてさてどうなることでしょうか。

 元々子供の頃からいわゆるギリの部分が大きく地肌が透けて見えていたようで、中学生の時に背の高い同級生に上から覗きこまれて「こいつハゲてる!」と大声で言われたときは流石に驚愕したものです。 

 それ以来自分の頭髪はそんなものだと思いそれほど気にはしていなかったのですが、今更ながら現実に目を向けるとこの大惨事です。もしこれが10年前のことでしたらかなり深刻に悩んだかもしれませんが、先だって歳62の誕生日を迎えた身としては、老化現象だと観念したほうが気が楽かもしれません。

 どうも還暦を過ぎてから心身ともに急に劣化してしまったような気がします。老いてもなお盛んな方もいらっしゃいますが、私の場合特に気力の落ち込みが著しくて何事にもやる気が起きない、集中力が続かない、兎に角全部どうでもいい。風に吹かれて流されて、惰性でゆらゆら生きているような感覚です。

 そう言えば最近、もう一つ如実な老化現象が起きました。平日の夕方にBSで再放送している『水戸黄門』をたまたま見ていたら、これが存外に面白くて病みつきになり、毎日見るのが脅迫的な日課になってしまったのです。

 私は大昔からウルトラマンや仮面ライダーが大好きで大人になってからも見続けていたのですが、水戸黄門は年寄りのためのヒーロー物であることを 改めて実感しました。助さん格さんの超人的な大立ち回りは正にサイボーグですし、由美かおる姉さんの華麗な衣装とアクションは変身忍者としか言いようがありません。

 願わくは死ぬまでに水戸黄門の新作が見られたら望外の幸せです。ちなみに私が熱望する配役は、御老公に吉田拓郎、助格にキンキのお二人。もちろん光一くんが助さんで、剛くんが格さんです。尤も、夢のまた夢の夢のお話ですが。