専業ババ奮闘記その2 秋④

 

 秋分の日、娘たち母子と出雲の家(寛大曰く、誰も住んでいないお家)で落ち合うことにし、早朝から弁当作りに精を出した。夫と私は先に出て畑仕事をし、それが終わった頃に娘たちが来ることになっている。夜中には雷が鳴り、6時半に家を出る頃もまだ雨は降っていた。農道の途中では土砂降り。どうなるかと思ったら、出雲に入ると雨は上がっていた。

 作業服に着替え、まずはカボス畑に行ってナスとピーマンの収穫、次にゴンダ畑に車を寄せると、キジの雛が4羽あわてて逃げて行くところだった。夫は刈り払機で草を刈り、私はダイコンの周りにぎっしり生えたカヤツリグサを根っこから引き抜いていく。帰ってシャワーをして着替え、食器などを準備して娘たちを待った。

 娘たちがやって来たのは10時半。車中で眠ってしまったという宗矢を起こして、まずは実家の墓参り。孫たちにとっては曾祖父母の眠る墓だ。雨が上がり、秋晴れとなったので、次に参る父の実家まで歩いて行くことにした。寛大は虫捕り籠と網を持って虫を探しながら、実歩は水筒を肩に提げて私と手をつないで歩く。娘と一緒に歩く宗矢はというと、「あっ」と言っては立ち止まって草を指さし、少し歩くと「あっ」と言って石ころを指さし、なかなか進まない。夫ときたら、脊柱管狭窄症のため、少し歩くと腰かけるところを見つけて座っている。1キロほどの行程にどれだけ時間をかけたことか。

 着くと、庭に居た従兄が、「栄理子さん、いつの間にか、三児の母かね」と驚いた顔で迎えてくれた。「智恵美さんがおばあちゃんとはね」とも。家の中には私と実歩だけ上がり、代表して線香をあげ、他の皆は従兄に連れられ果樹園の見学。従兄は元々好きな魚釣りに加え、果樹栽培にも熱を入れている。今の時季実るのは、クリとブドウ。母子が見学している間に、栗の木が並ぶ近くの墓に夫とお参りする。クリ、マスカット、ピオーネをお土産にいただき、家の近くまで来たところで、実歩の肩に水筒がないことに気づいた。水筒を取りに踵を返す。従兄の家の仏間に赤いものが見えた。汗だくで家に帰ると、縁側からがテーブルの周りを囲む孫たちが見えた。秋空の下を歩いた後、皆でにぎやかに食べる弁当の美味しかったこと。