専業ババ奮闘記その2 秋②
新たに出現した恐るべき敵の正体は、ワルナスビ。数年前、畑のお隣の家のGさんが、「うちの牛糞使って。わし一人じゃ使いきれんから」と言われるので、お言葉に甘えて何度か拝借した。その際、牛糞の山に生える見慣れない緑の葉が気になってはいたのだが…。そのワルナスビが持つ武器というのは、茎にも葉にも無数に生えている棘だ。ズボンを履いていても足がチクチクする。刈る際は軍手では痛くて触れないので、夫が買って来たごわごわの分厚い手袋を使う。花は、名前の通りナスに似た白い可憐な花を咲かせるが、実はというと、大きさはビー玉くらい、黄緑に濃い緑の筋入りで、固まってぶら下がる様は不気味な感じがする。そして、そのしぶとさと言ったら。刈った数日後に行くと、切り口から枝を伸ばし、緑の葉を広げている。さらに、根が果てしなく深く潜っていて、引っこ抜くとぷつんと切れてしまう。わずかの期間に畑全体にまで広がってしまった。まさにワルナスビだ。
カヤツリグサも相変わらず私を苦しめる。ダイコンの種を蒔いた次の週、ハクサイの苗を植えるところを起こしてもらい、土の中から紐で繋がった黒い球根を拾っていく。ふと横を見ると、あれだけ黒い塊を取り除いたのに、もうダイコンの双葉の周りに黄緑色の尖った芽が生えている。空しさを抱えながら、止めることも出来ず、無駄な抵抗を続ける。そして、重い気持ちのまま、ハクサイの苗を植え、アーチ形の支柱を埋め込み、ネットを張った。
帰りに平田に米を取に行く。30キロの米を今年は3袋だけ頼んだ。毎年6袋だったのが、今年は半減。いつもお世話になるAさんが出てこられ、「まあ、お祖母さんはそげに食べられよっただろうかと話してましたわ」と、言われるので、「いや、一人減ったのもあるんですけど、息子が長期出張に行ってたこともあって、まだ3袋残ってるんです」と答える。米袋は、夫と二人掛かりで運んだ。去年までは、各自で1袋ずつ運べたのに。何年か前は、娘のアパートの3階まで1袋ずつ抱えて運んでたっけ。子どもたちが食べ盛りの頃は弁当もあり、10キロの米が十日で無くなっていた。家族が減り、米が減り、老化した体は力が無くなり…。まだ初秋なのに、人生の晩秋を感じさせられる日となった。