専業ババ奮闘記その2 二人暮らし③

 

 7月に入って最初の週末、夕方の散歩に出たら雨が降り出した。その夜、関東、東海が豪雨で、熱海では大規模な土砂崩れが起きたとのニュースにびっくり。熱海からそう遠くない御殿場にいる長男が心配だ。メールを入れるが返事はない。返信する暇もなく、現場での対応をしているのだろう。携帯の音で目が覚めたのは夜中。「生きてるよ!土砂崩れで大変だったよ」とのこと。夜を徹して道路になだれ込んだ土砂を取り除く作業をしているようだ。高速道路のメンテナンス会社にいる長男は、豪雨の時は土砂の掻き出し、冬は雪かきで大忙しだという。ちょっとした不具合でも、高速道路では大事故につながるのだ。

 それから間もなく、島根の豪雨が全国ニュースになった。今度は長男から心配の電話。こちらの無事を伝え、熱海の大惨事のことや、今も続く作業の話を聞く。続いて二男からも、「大丈夫?」とのメール、そして同期からも次々に入ってきた。しかし、何かあるといつもメールをくれていたMからはない。そうか、もう居ないんだと改めて思う。

 雨が降り続く中、娘と孫たちがやってきた。小学校は休校で、保育園からも、たまたま休みだった娘に、「保護者がいるところは登園を控えるように」との連絡があったようだ。急なことだったので、酢鶏だけを慌てて作り、あとは残り物で昼食。お陰で、冷蔵庫の整理ができた。雨で外にも出られず、ブロックをしたり、お絵かきをしたり。宗矢はなかなか聞かん坊で、「だめ」と言っても、すぐには止めない。「この調子だわね」と言う娘に、「雄二はもっとすごかったよ。このくらいの時にあんたと義一と二人泣かせてるからね」と返す。今頃、福井でくしゃみをしていることだろう。

 小学校は週末まで休校、保育園は通常通りになったけれど、宗矢が中耳炎になり、熱を出したということで、男の子二人を引き続き預かることになった。寛大はジジに任せ、私は熱のある宗矢の相手。38度台から下がらず、やんちゃを言うけど、お茶は飲むし、昼食もそこそこ摂ってくれるのには助かる。線香を点けると「あち、あち」、分かったという意味の「うん」を言う。次の日もやはり熱は下がらず、少し遊んではぐったりし、ぐずぐず言い続けた。雨が上がること、宗矢の熱が下がることを祈りながら孫たちと家に籠っていた。