専業ババ奮闘記その2 新学期⑤

 

「学校に行くのを嫌がっているわけではないから、土曜日の児童クラブは休ませてもいいんじゃない」と私が言うと、「そうだに。毎朝、7時20分になったら必ず家を出るからね。学校まで結構遠いけど、休まずに行ってるし」と、娘も同じ思いでいるようだ。児童クラブに、6月の土曜日は休ませると連絡を入れ、娘が出勤の時は、寛大を一日預かることにした。

 実歩の誕生プレゼントの浴衣を何とか仕上げて渡し、いよいよ5月も終わりに近くなった日、息子は職場から帰って来るなり、「来月から福井に行くことになったわ」と言う。これまで、米子で三箇月、奈良で一年勤務している。今度は福井か。「ヘルプで行くから、2箇月ほどだよ。奈良みたいにアパート借りるんじゃなくて、ずっとホテルらしい」と息子。一番の心配は身体のことだ。健康診断でひっかかった項目があり、精密検査を受けることにしていたのだが、それが先延ばしになってしまう。ホテル暮らしになると、コンビニ弁当や外食になり、さらに数値が悪くなるのではないだろうか。「大丈夫、一日一回は給食でバランスとれるから」と、息子に言われ、少しだけ安心する。

 あれこれ取り越し苦労をしているうちに、6月に入り、土曜日には寛大を迎えた。少し咳が出るので受診してくれと娘に頼まれ、まずは歩いて近くの耳鼻科に受診に行く。大したことはなく、咳止めと胸に貼る薬をもらって帰った。夕べの残り物で昼食を摂り、咳も出ないし元気そうなので、バッタの公園に行って遊んだ。家に戻って三時のおやつを食べてからは、帰って来たジジを交えてカードゲーム。せっかくだから、次の土曜日は何か作ろうかと、娘の部屋の本棚からあれこれ探す。工作の本の中からあれこれピックアップしたものの、最終的には、小学館「生活探検大図鑑」に載っていたアイスクリームを作ることになった。

 次の週、揃えていた材料で寛大と二人で作ってみた。材料は、卵、砂糖、生クリームだけ。少量ずつ砂糖を入れた卵と生クリームを別々に泡立て、混ぜ合わせて冷凍庫に入れる。2時間置いて、固まったところでもう一度全体をかき混ぜ、再度凍らすと、ふんわりしたアイスクリームができあがる。イチゴのジャムをかけて食べながら寛大が言う。「うちでもお母ちゃんと作ってみるわ」