専業ババ奮闘記その2 ショートステイ⑤
ショートステイに移ってから少しずつ元気になり、食べ物の摂取量も増えてくると、夫に、「帰りたい」「もう飽きた」などと訴え、私が行くと、「あ、迎えに来た」などと言うようになった。何とか説得したり、気を逸らした隙に帰ったりしているうちに12月に突入。新型コロナウイルス第3波のため、面会は個室でのみになった。
その頃、義母の身体に変化があった。夫の番の日、室内履きを持ち帰ってきたのだ。「体液が漏れて、びしょ濡れになってたんだって」。翌日私が行った時も左下肢にパッドを当てていた。体液漏れはその後ずっと続き、もう使わなくなった小さめのパッドを脚に当ててもらうようショートステイに持って行った。
「ここに居ることにしたわ。家に帰ってもぼうっとしちょうだけだけん」と言う日があれば、「みんな家に帰られる」とか、「牢屋に居るみたい」と呟くことも。義母なりに様々に思いを巡らしているのだろう。こんなに元気になったのは、ショートステイの皆さんのお陰だ。所長、ケアマネ、看護師、介護職員の方々が日々健康管理をし、要介護4の義母に合ったお世話をしてくださっている。動脈瘤があり、臓器に水が溜まっているだけでなく、下肢から体液が漏れ出すような状態では、とても自宅で世話をする自信はない。けれども、義母の気持ちを思うとまた頭から離れなくなり、夢によく出てくるようになった。ある時は大好きな風呂に入っており、ある時は部屋でテレビを見ながらお菓子をぼりぼり。
そうこうしているうちに、退院後一か月の受診日がやってきた。ショートステイに行くと、「夕べも遅くまで帰りたいと言っておられました」とケアマネさん。食事の摂取量、便通、熱、血圧、血中酸素など、日々の記録をプリントした紙を持ち、夫は自分の車で、私は義母と介護タクシーに乗って病院へ向かった。
主治医さんは、「目が全然違いますね」と、退院時とは見違えるような義母の姿に、開口一番そう言われた。体液が漏れることについて相談すると、「あえて気にしないことにしましょう。気にすれば入院して辛い治療をすることになりますから」と言われる。次の診察は三ヶ月後、家族だけで来てくださいとのこと。