人生の誰彼 8 謎のタイソンカレー

 

 出雲市の国富町(旧平田市)に『マチエール』という食事メニューが充実した昭和感漂う喫茶店があります。商店が立ち並ぶ街中から少し外れたところにひっそりと佇んでいるのですが、以前テレビ番組で中居正広さんが訪れてから広く名が知られるようになったらしく、休日のお昼時に行くと多くのお客さんで賑わっています。

 ここの名物(?)料理にタイソンカレーセットがあります。名前から想像するとメガ盛カレーっぽいなと思われるかもしれませんが、あにはからんやソース焼きそばとカレーライスが同時に味わえるという子供舌爺さんとって夢のようなメニューなのです。

 過日、念願叶ってこのタイソンカレーセットにありつくことができました。大き目のプレートの左側に焼きそば、右側にカレーライスが盛られ、少しですが生野菜も添えられています。おまけに味噌汁付です。

 勿論焼きそばには紅生姜、カレーには福神漬けが添えられています。この紅生姜と福神漬けの赤赤コンビが否が応にも食欲をそそり、もしこれが学校給食で出てきたら児童生徒は大喜び、テレビドラマ『おいしい給食』の甘利田先生が見たらきっと卒倒してしまうに違いないビジュアルです。

 それではいただきます。私は元々左利きで箸とスプーンは殆ど両刀遣い状態なので、左手で箸を使って焼きそばを啜り右手にスプーンを持ってカレーを食らうのです。もう至福のひと時としか表現の仕様がありません。焼きそばの味付けはちょっと薄めですが、野菜がたっぷりで麺が香ばしく炒められていて生卵が乗っています。カレーは辛さは控えめながら材料の旨みが溶け込んだ家庭的な味です。案の定、焼きそばとカレーの相性は抜群です。

 ところがこのタイソンカレー、食べ進めていくうちに妙な具合になってきます。焼きそばに生卵を崩して絡めるのですが、そうするとカレーにも卵を少し絡めたくなります。そうやって焼きそば、生卵、カレーライス・・・と忙しなく摂取していくうちにプレートの上がカオスと化していくのですね。

 そう、最終的にそれらが一体化して「私は今何を食べてるんだろう?」になってくるのです。次回臨むときは食べ方に一考の余地がありそうです。