専業ババ奮闘記その2 義母の病気①

 

 予約を取り、薬をもらって総合病院から帰った夜、義母は大好物の寿司をよく食べた。薬が効いたのか、痛みの訴えは無くなった。翌朝夫が起こしに行くと、夜中のドンドンですったもんだがあったことはすっかり忘れているようで、「夢見ちょったわ」が第一声だったとのこと。痛みを訴えることもなく、「今日はデーサービスだが」と言われるので、準備して送り出した。日中は孫たちが来たので、その相手やら歯科への付き添いやら。デイサービスから帰ってからも、義母は痛いの「い」の字も言わず、食事も普通に摂った。

 翌日曜日、朝の身の回りの世話をしていると、「すみませんね」と低姿勢。朝食の後の薬がまだなので、何度か行くが、眠ってばかりでなかなか飲まれない。「また痛みがぶり返しますよ」と繰り返すが、すぐに目を閉じられる。幾度目かにやっと飲んでもらえた。痛みが治まっているし、食欲もあるので一安心。しかし、午後になって、トイレに行った際に出血があってからというもの、部屋に帰ってから何度もドンドンがあり、「何でこげなことになったかいね」を再々聞かれる。その都度、「膀胱にできものが出来て、そのせいですよ。明日精密検査をしてもらいますからね」を繰り返した。

 夜はご機嫌が悪く、夫に対応してもらっていたが、結局は「智恵美さんを呼んでだと」と、夫が呼びに来たので、トイレに連れて行き、着替えをさせ、ベッドに横にならせた。

 翌朝は、総合病院に行く日だというのに、やることなすこと気に食わないようで、不機嫌極まりない。何とか機嫌をとりながら食事や着替えをさせ、車椅子ごと玄関から降ろして車に乗せ、病院に運んだが、とげとげしい態度のままだ。先生の診察に応じてくれるだろうかと心配なまま診察室に呼ばれる。泌尿器科の医師は若い方だった。その先生が、義母を見て、「え、百歳ですか、お若いですね。八十代に見えます」と言われると、途端に破顔し、声を立てて笑った。先生、有難う。それからはすっかりご機嫌がよくなり、スムーズに検査をして回った。

 すべての検査が終わり、診断を受けるまで待合の椅子で待つ間、穏やかな表情で過ごした。このまま帰ることになるのだろうか、それとも入院になるのだろうか。