人生の誰彼 6 次元大介と三人の大塚さん
アニメ『ルパン三世』でルパンの名相棒を務める次元大介の声を演じていた小林清志さんが勇退されることになりました。御年88歳、流石に次元の声を続けることに限界を感じられたのでしょうが残念なことです。
放送当初の配役『ルパン=山田康雄』『五エ門=大塚周夫』『銭形=納屋悟朗』の面々は鬼籍に入られ、不二子ちゃん役の二階堂有希子さんは既に引退されているそうです。小林さん一人、50年に渡りオリジナルのまま変わらず続けられたこと自体奇跡に近いことだったのでしょう。
最初にルパンが放映されたのは1971年、私が小学校5年生のときでした。他の子ども(幼児)向けキャラが登場するアニメとは一線を画した、洒落たストーリーと大人っぽいハードボイルドタッチな作画と展開に、ちょっと背伸びをし始めた小学校高学年の男子児童たちは夢中になって見ていたものです(多分女子は裏のカルピスまんが劇場を見ていたのではないかと)。
原作漫画はモンキーパンチ先生の手による無国籍風アクションものでしたが、TVアニメ化に際しキャラクターデザイン、設定、作画監督を務めたのが津和野町出身の大塚康生さんでした。大塚さんはメカニックにもこだわりを見せ、銃や自動車も実在の物を元に描いたのです。ルパンの愛銃ワルサーP38のカッコよさは勿論、次元の片腕S&WM19コンバットマグナムの頼もしさ、不二子ちゃんがガーターに忍ばせたブローニングも素敵でした。
で すが残念なことに大人向けを意識しすぎた所為か、アニメ(当時はテレビまんがと言いましたが)をよく見る年少の子ども世代には全く受けいれられず、視聴率は散々だったといいます。それが五十年も続くシリーズになろうとは、小林さんにとっても思いもよらぬことだったに違いありません。
さて、気になる新しい次元の声ですが、大塚明夫さんに決まったそうです。納得の配役です。ご存知の方も多いでしょうが、大塚さんは初代五エ門や初代ねずみ男、映画ではチャールズ・ブロンソン等癖のあるキャラの吹替えを得意とした大塚周夫氏のご子息で、お父さんとは質の異なる低くて男臭い美声の持ち主です。もう私の頭の中では脳内変換で大塚明夫さんの声で喋る次元大介の姿が出来上がっています。カッコいいこと請け合いです。