専業ババ奮闘記その2 コロナ禍の中で③
「おはようございます」の甲高い声。実歩だ。土曜日、孫たちのためにと朝から昼食やデザート作りをしている私の動きは鈍い。夜中、歯痛に襲われ、バファリンを飲んで朝方少しは眠ったようだが完全に睡眠不足。義母をデイサービスに送り出し、歯科に予約を入れたところだった。
予約の時刻まで、寛大、実歩、夫も誘ってトランプをする。実歩はトランプをし出してから数字が読めるようになり、目下ババ抜きが大のお気に入りだ。神経衰弱をやると、ジジもババも寛大に敵わない。四人でトランプをしている傍、母親のひざ元で、宗矢はたまに寝返りをうつ。もうすぐ生後五箇月、離乳食も始めている。
予約時刻の十五分前に家を出、歯科医院に入った。アクリルマスクをつけた受付の方に検温され、「手洗いと消毒をしてきてください」と言われる。手を洗い、消毒薬をつけ、再び受付に行くと、問診票と、コロナに関する調査項目が書かれた紙を渡された。二週間以内に県外の人と接触があったかどうかなどなど。待合室に椅子は四脚のみで、奥側にマスクをつけた人が座ってスマホをいじっている。待ち時間には新聞や雑誌を手に取るのだが、「コロナ対策のため、置いていません」と張り紙がしてあり、何もない。私はスマホも持っていないし、ただぼうっとして、呼ばれるのを待っていた。ようやく診察室に呼ばれ、痛い箇所を示す。歯科衛生士さんが、歯と歯ぐきの間にとがったものを突っ込んでは三とか四とか言われる。レントゲンを撮られた後、歯科医師の診察。歯周病の一歩手前だということ、夜中に痛んだ箇所は、歯ぐきから入った菌のせいで炎症をおこしていることを告げられた。歯ぐきに薬を詰められ、抗生剤と痛み止めをもらった。次回は歯磨き指導だそうだ。
帰って皆に昼食を食べさせ、実歩はパズル、寛大はブロックで少しだけ遊び、ジジ以外は横になる。実歩は本を読んでやった後、二つ目のお話をしているうちに眠った。寛大は眠れないと言うので、眠っている三人を居間に残し、二階に上がってディズニーの音楽を聴く。子どもたちは日に日に成長し、私はできないこと、痛いところが増えていく。義母も、どんどん手がかかるようになってきている。