専業ババ奮闘記その2 ババルウ星人②

 寛大が「ウルトラマン」と言い出したのは、娘の同僚一家宅にお邪魔してからだ。同僚の連れ合いが、「日曜日の朝早く、テレビでウルトラマンやってるよ」と言ったのだそうだ。娘の家のテレビでは映らないからと、うちで毎週録画するようになった。それから、寛大は我が家に来るなり、「ウルトラマン見る」と言ってテレビの前に座るようになった。

 ウルトラマンは、我が長男が一時期はまり、歴代ウルトラマンやら怪獣やらのフィギュアをいくつも買わされた。夏は虫、冬は年ごとに興味の対象が飛行機、鳥と変わり、ある冬はウルトラマンにのめりこんだ。ウルトラマンや怪獣のフィギュアをねだり、ビデオを借りてきては何度も繰り返して見、本を買っては破れるまでページをめくり、寝ても覚めてもウルトラマンの日々。フィギュアは、模様が薄れ、片腕がもげているものもあるが、ほとんどは原型をとどめている。本も、使い古した辞書のようになっているものの、読めなくはない。

 寛大に、取っておいたフィギュアと本を出してやると大喜び。録画した番組は、もちろん昔のとは全く違う新たなウルトラマンになっている。でも、怪獣は昔と同じのが結構出てくる。怪獣が出てくると、「ババ、読んで」と本を持ってきて、その怪獣の説明を読まされた。字が小さくて読めないので、虫メガネを持ってきて読んでやる。そのうち、本と虫メガネをセットで持ってくるようになった。寛大の影響を受けて、実歩までが怪獣を並べて遊ぶようになり、本と虫メガネを持ってきて、「ババ読んで」という始末。

ウルトラマンや怪獣のフィギュアを並べて遊ぶ姿を見ていると、三十年近く昔の長男が浮かび上がってくる。穏やかなところといい、寛大はどこかしら長男に似ている。

ウルトラマンで遊んでくれるのはいいが、度々名前を聞いてきて本を読まされるのには閉口した。ウルトラマンと帰ってきたウルトラマンはぱっと見で分からない。怪獣は、ダダやカネゴン、ピグモンやバルタン星人など特徴的なものは分かるが、他はちんぷんかんぷん。その都度本で調べるのが面倒になり、マジックでフィギュアの脚の裏に名前を書くようにした。ベムラー、ベムスターなどなど。