専業ババ奮闘記その2 ババルウ星人①

 義母の前回の骨折の際は公会堂の車椅子を借りていたが、これから必需品となりそうなので、ケアマネさんにお願いし、レンタルすることにした。デイサービスに通い出してから、玄関にはスロープを、そして、部屋に向かうまでの間には手すりを付けた。上体起こしが出来、高さを調節できるベッドと、廊下のポール(手すりから部屋の戸まで少し距離があるために設置)がレンタルで、それに車椅子が加わった。

最初の頃は夫と二人掛かりでベッドに寝かせたり起こしたりした。ところが、体中どこを触っても痛がるので、少しの移動にもやたら時間がかかる。せっかちの夫にはなかなか難しいことだった。それにトイレや下着の始末、着替えとなると、やはり同性でないと嫌な様子だ。まずベッドの上体を起こし、自分で動かれるまで待ち、下着を交換して車椅子に乗せ、トイレに連れて行く。そして、着替えをして炬燵に備えた椅子に座ってもらう。この一連の動きが、「痛い、痛い」を耳にしながらも、一人でできるようになった。

 あと、気がかりなのは、家に居る時、様子を見に行くと、よく炬燵に額をつけた状態、つまり前かがみになっていることだ。整形外科の先生には背筋を伸ばすよう言われている。これでは、いつまで経っても治らないし、違う箇所に骨折が起きてしまう。夫と相談し、リクライニングチェアを買いに行った。リクライニングにしていると、そのままの状態で寝ているようになった。たまに前かがみになることはあったが、頻度はかなり減った。

 そうした日々を過ごしながら、週末は玉湯に子守に行った。ドアを開けると、「ババルウ星人だ」と寛大が大声を出し、後から顔を出した実歩まで、「ババルウ星人だ」とはしゃいでいる。寛大は今、ウルトラマンにはまっているのだ。部屋に入ると、宗矢が床に寝ていたので抱っこする。しばらくして、宗矢を乳母車に乗せ、近くの公園まで歩いた。途中、娘と宗矢は授乳のために先に家に帰った。寛大と実歩を遊ばせていると、道路を挟んだ畑にいたご婦人が、「高菜持って帰らん」と声を掛けてくださる。「あそこに新しく建った家の人かね。三人子どもさんがおられるね」と言って、春菊まで分けてくださった。