専業ババ奮闘記その2 出産④
寛大と実歩の夜中の活躍にしばしば起こされはしたものの、五時にばちっと目が覚めた。子どもたちを見ると、何とか布団の中にいる。そして、寛大の目が開いているのが見えた。「まだ早いから、もう少し寝ようね」と言ってしばらく横になっていたが、やはり寛大の目は開いたままだ。環境が変わり、緊張しているのだろうか。「ババは、朝ご飯の用意をするから、迎えに来るまで布団の中におってよ」と言って台所に降りる。
今朝の献立はサラダにウインナーと牛乳、あとは焼くだけのチーズトーストだ。準備を終えて二階へ迎えに行くと、実歩も起きていて、二人布団の上に並んで座っていた。寛大は一人で、実歩は私に抱っこされて台所に降り、順番にトイレに連れて行ってからテーブルに着かせる。私は朝食をかきこみ、二人が夫や息子と朝食を摂っている間、義母の部屋に行き、リモコンでベッドの上体を起こし、車椅子に乗せてトイレに連れて行く。着替えをさせて炬燵に入らせ、部屋に散らかったものを片付ける。検温を済ませてから朝食を運び、一段落。
台所に戻ると、なかなか食べ終わらない実歩の口に残った物を放り込み、寛大には歯磨きをするように言う。息子が出勤し、夫が立ち当番に出かけている間に、寛大と実歩に着替えをさせ、連絡帳に記入をし、義母の部屋に行って朝食の盆を下げる。
当番を終えて帰ってきた夫が寛大と実歩を保育所に送り、私は義母とデイサービスのお迎えを待つ。義母をデイサービスに送るとようやく一息つく。パソコンに向かって点訳をすると、肩の力が抜ける。いつもしていることをするというのが、こんなに落ち着くものなのか。一時間ほど点訳してから娘のところに向かう。娘は相変わらずよくしゃべり、赤ん坊はずっと眠ったままだった。
帰って、一人昼食を摂った後、睡魔が襲ってきて、少しだけ眠った。買い出しをし、夕食の下ごしらえをしてから寛大と実歩を迎え、その足で産科医院へ。寛大は「おかあちゃん」と近寄っていくが、実歩は近づこうとしない。この光景はあの時と同じだ。実歩が産まれた際、寛大も母親に近寄ろうとしなかったのだ。いつもの母親と別の存在に見えるのだろうか。しばらくして、忠ちゃんが来たが、実歩の表情は固まったままだった。