専業ババ奮闘記その2 産前休暇①
かつての虫博士こと、長男に「112233おめでとう(11月22日、33歳の誕生日、おめでとう)」のメールを送った日の夕方、寛大と実歩を保育所に迎えに行き、我が家に連れて帰った。夕飯を食べさせてから、居間で遊ばせていると、「お世話になりました」と娘の声。台所のドアを開けるなり、「明日から産休だから、あちこちにあいさつ回りして、疲れたわ」。大きなお腹を押さえながらいつものようにまくしたてる。
「これから少しのんびりできるね」と言うと、「いやあ、アパートの片づけをぼちぼちしないといけんし、そうのんびりもしとられんに」と返す。
実は、娘たち一家は家を新築中で、年末に完成する予定なのだ。一か月後には引っ越しで、大きなお腹を抱えながらアパートの片づけをし、少しずつ荷造りなどを始めなければならない。第三子の出産予定日が、年明けの19日。寛大も実歩も予定日より十日前後早く生まれている。今回も予定より早く生まれ、新居に入る日よりも前に生まれたらどうしよう、引っ越しの日に産気づいたらどうしようと今から心配している。「実歩の七五三の写真撮りも、1月7日でさあ」。何もかもが年末から年を明けた頃にかけて予定されているようだ。
「重たいものを持ったらいけんよ。アパートの片づけも手伝うから、いつでも呼んでよ」と言うと、「大きい荷物は引っ越し業者がしてくれるけん、小さいものをまとめるだけだけん。少しずつやっていけば大丈夫だと思うけど、高いところの物を取ったり、重たいものを運んだりするときは頼むわ」と言って、出っ張った腹を引きずるようにして二人を連れて帰っていった。
その二日後、散歩ついでに買い物に行くと、「ばば」の声。寛大、実歩がお父ちゃん、お母ちゃんと一緒に買い物に来ていた。寛大と実歩は私と店内を回り、娘たち夫婦は仲良く買い物をしていた。これからが大変だとまくしたてていた割に、ゆったり構えているではないか。そういえば、我が子が小さい頃、夫も一緒に買い物をしたことはあったっけと思いながら、孫二人について店内を歩いた。