専業ババ奮闘記その2 懐妊④

 四か月目に入った娘のお腹が、少しふっくらしてきた。つわりはまだ治まらないようだ。寛大と実歩を保育所に迎えに行き、夕食を摂らせていると、仕事から帰ってきた娘は、テーブルに乗せていたその日採りたてのキュウリを手に取り、「これ、食べていい」と言うなりかじりついた。「腹が減ると気持ち悪くなるに」
 五歳の誕生日を目前にした寛大は、いろいろなものに興味をそそられる様子。お迎えの車の中で、「ババおうちにジェンガある」と言う。帰って娘の部屋に上がると、牛乳パックで補強した箱に入っていた。一通りの説明をして始めたものの、二度とも負け、以来「ジェンガ」のジェの字も言わなくなった。最近は字や数字にも興味を示しだし、絵を描きながら数字の歌を歌うと、何度もせがむ。そのうち、使用済みカレンダーの数字をマジックで上書きするようになり、しまいには切り抜きだした。
 実歩は、パズルと木製のかるたがお好みだ。パズルは、一人で全部嵌めることはできないので、こっちも手伝わねばならない。やりながら、ボケ予防をしている気分になる。
 七月も半ばを過ぎた週末、忠ちゃんが泊りがけの仕事が入ったとのことで、母子三人我が家に泊まりに来た。いつものブロックやパズルに加え、やはり我が子が使っていた独楽やけん玉、ヨーヨーなども引っ張り出して、寛大や実歩の前に並べた。娘が年長児の頃、保育所で独楽回しが流行ったことがあり、負けず嫌いの娘は、できるまで何度も練習していた。けん玉やヨーヨーは息子たちがよくやっていた。当時はハイパーヨーヨーというのが流行っていて、二人ともいろいろな技に挑戦していた。
 それらを前に、実歩は全く無関心でブロックを組み立てている。寛大は一通り試したが、独楽もけん玉も難しすぎてあっさり放棄。ヨーヨーだけは、こつがつかめたようでしばらくやっていたが、結局は実歩と一緒にブロックを始めた。まだ少し早すぎたかな。