専業ババ奮闘記その2 懐妊③

 母親が身ごもると、言葉に出さなくても、また身体の変化も見えないのに、子どもは何かしら感じるようで、これまでと違う態度を見せるようになる。「ババ、ババ」と、実歩がやたら私にべたつくようになったのも、その関係だろうか。
 六月の下旬にさしかかった頃、保育所の参観日に付き合わされた。自分は寛大のいるきく組に行くので、私は実歩についてくれと言われ、さくら組の部屋に入る。
 全員が揃うまで、ブロックで自由遊び。実歩は大好きなブロックを前に、触ろうともしない。ブロックを拾って手に持たせても、私の膝にのったまま、ちょっと触るだけ。やっとブロックを重ねるようになった頃、全員が揃った。
 朝の会が始まり、おはようのあいさつと、歌。実歩は口を開けようとしない。点呼でも、おずおずと少し手をあげたくらいで声は発せず。
 そして、さくら組さんのその日の活動が始まった。会食のメニューである、おにぎり、豚汁、おひたしに使う材料を、それぞれの組で分担して下ごしらえするのだ。さくら組ではしめじちぎりとこんにゃくちぎりをした。ちなみに寛大のきく組は、ニンジンの型抜きとおにぎりの具作りだったそうだ。
 周りを見回すと、若いお母さんにお父さんばかり。お祖母さんは私ともう一人だけ。寛大が生まれてしばらくは、「お祖母さん」が他人事に思えたが、今ではもう板についた。若いお母さん方と顔を見合わせて笑うこともできるようになった。
 実歩はといえば、何とかしめじちぎりやこんにゃくちぎりはこなしたものの、「さあ、順番にトイレですよ」と言われたら、私をトイレにまで引き連れていく始末。
 昼食会場で、お母さんとお兄ちゃんと合流し、やっと笑顔が出た実歩。ただ普段と違う雰囲気に緊張していただけだったのかな。