専業ババ奮闘記その2 小旅行⑤
叔母の家ではルークのけたたましい声に迎えられた。いつ来ても、叔母の家には犬がいる。三十年前に行った際は、ノンという名のシェットランドシープドッグだったが、このところはコーギーだ。ルークの前はボギーという大人しい犬だった。同じコーギーで、顔もボギーによく似ているのに、ルークはとにかくよく吠える。寛大と実歩は玄関先ですくみ上ってしまった。二年ちょい前に来た時のルークはまだ子犬で仕方がないと思っていた。もういい大人なのに、相変わらず吠えまくる。寛大、実歩が怖がるので、ルークは隔離された。
ルークの声が聞こえなくなると、寛大はもうこの家の住人かのように、叔父や叔母相手におしゃべりを始める。はじめは固い表情だった実歩も、寛大につられてか、少しずつ声を出すようになり、「ゾウがパオウっていった」と目を丸くして叔母に話していた。
動物園を歩き回り体は疲れ切っているのになかなか眠りにつけない。焼酎を一杯あおってようやく朝まで眠れた。洗濯物を干した後、叔父とルークの散歩にお供する。ボギーは叔父の近くを離れずに歩いていたのに、ルークは度々走り出す。しばらくすると叔父の近くまでやってきて、また疾走というのを繰り返して家に着いた。泥まみれのルークの腹を洗ってからという叔父を残し、家の中に入る。小さい体で公園中を歩いた実歩が、やっと起きたところだった。朝食を済ませ、寛大や実歩と折り紙をして遊んでから、お弁当作り。この日、従弟夫婦が千葉からやってきて、近くの公園で一緒に昼食を摂ることにしている。
叔父叔母、従弟夫婦、私たち親子三代、そしてルークと大所帯で近くの公園へ。お弁当を食べて従弟がルークを歩かせに立つと、寛大が付いていく。戻って来た寛大はルークの背中をさすっていた。「ルークとお友だちになった」寛大は満面の笑顔。
その夜、お風呂に入る際、いきなりルークに吠えられた寛大。またもやすくんでしまった。