専業ババ奮闘記その2 インフルエンザ(2)
夫と二人がかりで義母の体を支えながら何とか車に乗せ、かかりつけ医に連れていった。診察の結果、インフルエンザだということでイナビルを吸引させられる。帰りも二人で体を支えながら家まで運び、ベッドに寝かせた。この様子では家の中でも移動が難しいので、公会堂の車椅子を借りることに。夫が区長をしていた際、補助金で購入したものだ。
薬の効果か、夜には熱が下がり、車椅子に乗せて台所まで連れてくると、水炊きを「おいしい、おいしい」と食べたので安心していた。ところが、翌日また熱が37度台になった。薬を飲まないといけないので何とか食べさせようとするが、食べたり食べなかったり。百歳近いので、回復に時間がかかるのかなと思いつつ様子をみていた。その間、全面的に介助が必要な状態になり、おねしょシーツの洗い替えを買いに行き、洗濯できる電気毛布を探し回り、たっぷり吸収の紙おむつを選びと、介護と介護用品の買い出しに奔走する。そうこうしているうちに、「あー」「うー」「おー」などの声を発するようになり、さすがに不安になってきた。「もう一回、診てもらおうよ」と夫に言い、全身脱力の義母をベッドから起こし、車椅子に乗せ、何とかかかりつけ医に連れて行く。聴診器を当てた医師に、「肺炎かもしれませんね。すぐ紹介状を書きます」と言われ、その足で総合病院へと向かった。
車椅子に乗せ、呼吸器科で受付を済ますと、それまでうつらうつらしていた義母が、「Mさん」と声を出す。隣に並んだ車椅子の中で、義母と同じデイサービスに通うMさんが眠っていたのだ。付き添いの息子さんによると、やはり、インフルエンザによる肺炎の疑いで紹介状を持って受診に来たという。Mさんの後の並び順だったので、血液検査、レントゲン、診察と回りながら息子さんといろいろ話した。私たちとほぼ同年代だと思われる息子さんはまだ現役の勤め人で、車椅子生活のMさんを家に一人おくわけにはいかず、週六日デイサービスに通わせているとのこと。仕事に家事に介護、一人で何役もこなしておられるのだ。