専業ババ奮闘記その2 1 インフルエンザ(1)

 今、世界中に新型コロナウイルス感染が広がり、これまで経験したことがない事態に陥っている。私が通う教室や武道館での稽古は休止となり、家に籠ることが多くなった。けれども、毎日多くの人が亡くなり、仕事を失い、収入が得られなくなって生活を脅かされる人が増えている中で、細々とでも毎日暮らしているだけで、有難いと思わなければならない。とにもかくにも、早期の収束を願うばかりだ。
この新型コロナウイルス騒ぎの中、今年はインフルエンザのイの字も聞かれない。そのインフルエンザ、昨年は我が家、娘の家で大荒れした。
 娘は職場に復帰して二年目、寛大は年少組、実歩も同じ保育所二年目で慣れてきた頃だ。週二~三回の保育所迎えのほか、熱を出せば一日面倒をみるという暮らしはもう習慣のようになり、専業ババの生活も定着してきていた。それが、インフルエンザ騒動で、春に白寿の祝いをしたばかりの義母の介護度が一気に増したのだ。
 インフルエンザの嵐は二月に突然やってきた。百歳近くなり、少しずつ介助が必要となってきていた義母を一人にしてはおけないので、保育所の生活発表会にはジジに行ってもらった。その二日後、ジジはインフルエンザと診断された。熱はそう高くはなかったが、かかりつけ医の検査で陽性が出た。その二~三日後には息子が罹った。同じ頃、娘の家でも寛大、娘と続き、忠ちゃんまでが罹っている。
 義母にうつってはいけないと、夫や息子に近づけないようしていたのだが、ついに咳が出だした。デイサービスでも利用者にインフルエンザ患者が出たということで、朝の検温をすると、37・5度ある。「今日はデイサービス休んで病院に行きましょう」と言って着替えさせ、部屋から連れ出そうとしたところ、「立てんがね」と言う。夫と二人がかりで支えるが、脚に力が入らないようで、立たそうとしても崩れてしまう。