手作りのくらし2 ベスト(4)
モチーフを接ぎ合わせて作るベストにかかり、一枚編み終えたところで行き詰った。編み終えたモチーフが、えらく大きい。これを四枚接げば、大男用だ。毛糸が太すぎるのかも。一旦編んだモチーフを解き、球にしていく。そして、段を減らして編み直した。それでも、結構毛糸が入用になり、四玉ではできそうにない。雑誌のページをめくり、違うベストを探した。デザインとしては地味だけど、初めての編み方だし、挑戦してみようと取りかかった。
雑誌にある通りに目数を揃えて編んでいく。かなり長く毛糸を延ばしながら編む部分があるのだが、どうも延ばす長さが短いのか、その部分が周りを引っ張ってひきつったような感じになってしまう。少し長めに延ばすが、やはり周りと合わず、編んでは解き、解いては編みしながら前身ごろを編み終えた。途中から嫌な感じはしていたが、やはり幅が広すぎる。大男用とまではいかないが、息子にちょうどいいくらいの大きさになってしまった。やはりこれも雑誌に挙げられている毛糸より太いのか。目数を減らすしかない。雑誌の編み目の図に、左右同じ目数を数え、定規で線を引いた。引いた線内の目を編んでいけばいいのだ。
時に段を間違え、時に目を飛ばし、解いては編み、また解いては編みしながら、前身ごろを編み終えた。今度はちょうどいい幅だ。ひきつった部分もなく、いい感じだ。その調子で後ろ身ごろも編み終えた。裾、首回り、袖ぐりは違う編み方で編んでいく。失敗続きだったけど、毛糸だから編み直しがきき、何とか仕上げることができた。早速着てみる。暖かい。アルパカだ。目を閉じると、青い空にコンドルが…なんてことはないけれども、心地よい暖かさだ。
「これ、手編み?あったかそうね」勉強会に着て出ると、そんな声をかけられた。ますます、体がホカホカしてきた。