手作りのくらし2 金山寺味噌(1)

 私の休息時間は一日に二度ある。一度目は昼食時からの一~二時間。撮っておいたビデオを見ながらゆっくりと昼食を摂り、日常から離れた世界に浸る。二度目は夕食を片付け、百歳の義母を寝かせ、体操を終え、風呂から上がった後の約一時間。日記をつけ終え、テレビを見ながらちびりちびりと焼酎のお湯割りを飲む。
 以前は焼酎のお湯割りだけだったが、この頃は、腹に溜まらない物をつまみながら飲んでいる。これまでにつまみにしてきたものは、キムチ、大根の酢漬け、茎ワカメなどなど。「おふくろ、それはおかしいで」と言われたのは、のりたま。箸でつまみながら飲んでいると、息子が居間に降りてきて言った。結構はまって、何袋かをつまみにしたが、さすがに飽きてしまった。大体が凝り性というか、これと決めたらそればかりになってしまいがちだ。朝食は毎朝手作りのパンにウインナーやらベーコン、チーズを乗せたトースト、サラダ、コーヒー、ヨーグルトと決まっている。つまみもしかりで、一時は茎ワカメにはまり、ネットで一キロ入りの大袋を買い、息子にあきれられた。その茎ワカメも大袋が無くなった後、姿を消した。
 今は何かというと、金山寺味噌だ。去年、いつもいろいろいただくOさんに、「金山寺味噌漬けたら、結構おいしいのができてね」と小瓶を持たされた。帰ってさっそく箸でつまんだところ、塩加減といい、中に入っている麹の噛みごたえといい、ナスの柔らかさと風味といい、満足度抜群だ。それを夜の焼酎のつまみにしだしたら、もうほかのものに目が向かなくなってしまった。
 それからというもの、キムチやぬか漬けなどもつまみにするが、途中からはどうしても金山寺味噌に行ってしまう。いただいたものが無くなると、スーパーで買い求めるようになった。完全にはまってしまったのだ。