手作りのくらし2 ぬか漬け(4)

 耕作放棄地からいただいた種は、大根ではなく、カブの種だった。大根の間引き菜と一緒に浅漬けにし、刻んでタッパーに入れておくと、食事のたびに夫が自分のと義母のご飯の上に乗せて醤油を垂らして食べていた。
 そのうち、大根よりカブの方が早く成長し、赤くて丸っこい根を土の上に出すようになったので、ぬか床に漬けてみた。真っ赤で丸いのもあれば、津田カブのような薄紫色の先の細くなったのもある。四日ほど経ってぬか床からあげ、刻んで食べると、あっさりした塩漬けとは違い、酸味のある独特の濃さのある味だった。
 行くたびにカブが四~五個採れ、半分はぬか漬けに、半分は酢カブにする。酢カブは実歩の好物なのだ。寛大は酢カブを食べないので、大きくなってきた大根を砂糖、塩、酢を混ぜた液に置くだけの甘酢漬けにする。食卓に出すと、寛大の手は真っ先にこれに伸びる。
 今年は、天候がちょうどいいのか、網の中のキャベツと白菜が順調に育っている。ここのところ白菜の出来が悪く、去年は早いうちに虫にやられ、散々だった。この分では数年ぶりにキムチ作りができるかもしれない。私にとって主食ともいえるキャベツも巻き始めている。その横に植えたブロッコリーは、網をかけずにいたせいか、アオムシにやられて葉がほとんどなくなっていたが、大分葉が出始めている。それでも、アオムシは行くたびに見つかるので、見つけ次第つぶしていく。でも、今回は寛大と実歩のために、五匹ばかりビニール袋にいれて持ち帰った。幼虫から蛹になり、羽化してチョウになるところを見せてやるためだ。保育所の友だちの影響か、虫に興味を持ち出した寛大は大喜びだった。
 アオムシはすぐに蛹になったらしく、一週間後我が家に来た寛大と実歩は、「チョウチョになったよ」「窓から飛んでったよ」と報告してくれた。