手作りのくらし2 ぬか漬け
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畑で採れた作物はなるべく捨てないようにしている。畑帰りの車窓から、大根や玉ねぎが野ざらしにされている姿が目に入ると、勿体ないなあ、せっかく育ったのに可哀そうだなとしばし眺めている。「おい、おい、欲しいのか?」と運転席の夫が言う。
大根は、間引き菜や葉を浅漬けにし、細かく刻んでご飯にまぶして食べる。ピーラーでスライスした皮は、千切りにして乾かし、干し大根にする。スイカのまだ熟れていないうちに採ってしまったのや、赤くなってない皮部分は浅漬けにし、ドレッシングをかけて食べる。
そんな風だから、寛太や実歩たちと一緒に畑で採った作物も、捨てずに持ち帰った。尻の部分が破裂していたマスクメロン(?)は、汚くなった部分を取り除き、皮を剥く。実の部分は薄いピンクに色づいていて、買ったものとは比べ物にならないけれど、ほんのりとした甘みがあり、食後のデザートとして味わった。
実歩が踏んづけて割れたアジウリももちろん持って帰った。浅漬けにしようと思ったが、何気なく見ていたテレビ番組でぬか床が現れた。そうだ、我が家にはぬかがあるではないか。
数年前から、我が家では玄米をまとめ買いしている。はじめの頃はコイン精米所まで運んでいたが、面倒なので精米機を買った。そこで出るぬかは、筍の時期にはあく抜きに使い、大根を軟らかく煮るときには下茹での際に入れる。あとはほとんど畑を耕すときに肥料として土に混ぜ込んでいた。そうか、ぬか漬けにする床を作ればいいのだ。
ネットでぬか床の作り方を調べ、分量の塩、昆布、鷹の爪を準備する。水を加え、混ぜ合わせる。そこに、割れ目の入ったアジウリを半分に切って、床の中に埋めた。一緒に採った二個目のアムスメロンも、やはり甘みが皆無だったので、四つに切って埋め込んだ。さて、どんなアジウリとアムスメロンのぬか漬けができるやら。